2020.12.01更新

 国税庁は2019年度の税金の滞納状況を発表しました。

 税金は期限までに納めるルールですが、資金繰りなどさまざまな状況によって納めることができない納税者もいます。

 その滞納残高は7554億円で昨年度と比較すると6.9%減っています。

 これは21年連続で減少しています。

 また新たに発生したのは5528億円で、これも10%減少しています。

 ただし、今年度は新型コロナウイルス感染症に起因する急激な売り上げの減少による資金繰りの悪化に対応すべく、申告期限の延長や納税が猶予される特例申請が設けられたために滞納額も減少したとみられています。

 税目別で見てみると、新たに発生した滞納で一番多かったのが消費税の3202億円で全体の約60%でした。

 その次に所得税の1249億円、次いで法人税の765億円となっています。

 税金を期限までに納付しなければ利息に相当する延滞税がかかります。

 延滞税は納期限の翌日から2カ月までは原則7.3%(2020年12月31日までは2.6%)、2カ月を経過した以後の分に関しては原則14.6%(2020年12月31日までは8.9%)かかります。

 新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方に対しては、申請により最大1年間の納税が猶予されますが、延滞税も免除されますので、対象となる方は制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.11.01更新

 「子どもに掛けていた生命保険の契約者を親である私から本人に変更しようと考えています。保険料はずっと私が支払ってきましたが、変更するとこれまでの分に税金はかかるのでしょうか」という質問がありました。

 子どもの就職や結婚を機に生命保険の契約内容を見直すことは多いでしょう。

 生命保険を契約する際は、契約者(保険料の負担者)・被保険者・受取人を指定します。

 このうち契約者と受取人は途中で変更することができます。

 保険契約の期間中に契約者を変更した場合、この時点では保険金の支払いは発生していないため、それまで支払ってきた保険料を新たな契約者に贈与したことにはならず税金はかかりません。

 しかし、その後に解約返戻金や満期返戻金、死亡保険金などを受け取る場合には税金の対象となります。

 生命保険は契約者・被保険者・受取人の関係性で受け取ったときの税金の種類が変わります。

 それは「誰が保険料を支払っていたのか」によって相続税や贈与税などがかかる場合があるということです。

 満期を迎えて子どもが保険金を受け取った場合は、親であるあなたが負担した部分は贈与税、子ども自身が負担した部分は所得税の対象となります。

 当然ですが、それぞれの税金の基礎控除額を超えたときには契約者である子ども自身が申告して納税する必要があります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.10.01更新

 死別や離婚により夫のいない女性を「寡婦(かふ)」、妻のいない男性を「寡夫(かふ)」といいます。

 2020年度の税制改正により未婚のひとり親に対する寡婦(寡夫)控除の見直しが行われました。

 従来は離婚や死別であれば寡婦(寡夫)控除が適用されていましたが、未婚の場合は婚姻暦の有無によって控除が異なっていました。

 また男性のひとり親と女性のひとり親とでは控除額に差がありました。

 これらを公平にすべく見直しが行われ、2020年分の年末調整から全てのひとり親に適用されます。

 具体的には婚姻暦や性別にかかわらず、生計を同じとする「総所得金額が48万円以下」の子を持つ「所得金額が500万円以下」のひとり親について「ひとり親控除(35万円)」が適用されます。

 子以外の扶養親族を持つひとり親控除に該当しない寡婦については、従前の控除額27万円が適用されますが「500万円以下の所得制限」が設けられました。

 ただし住民票に事実婚の記載がある場合には控除は受けられません。

 総括すると、男女を問わず「所得金額が500万円以下」の未婚のひとり親は、新たに35万円の控除が適用されます。

 また従来は27万円だった寡夫控除は35万円となります。

 しかし、寡婦控除については所得制限が加わったため所得金額が500万円を超えると27万円の寡婦控除の適用がなくなります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.09.01更新

 「父から実家を二世帯住宅にして一緒に住もうと提案されました。そのため実家をリフォームしようと検討しています。両親は無職なので資金は息子である私が全て出す予定ですが、土地と建物は父の名義です。この場合、何か問題はあるでしょうか」という相談がありました。

 所有者が別人の2個以上の物が結合して1個の物になることを「付合」といいます。

 今回のように不動産(建物)に動産(増改築部分)が付合した場合は、原則として不動産の所有者がその動産の所有者となります。

 つまり息子から父親へ増改築部分の所有権が移転する(贈与)ため、息子が「その分のお金を私に払ってください」という権利を行使しないと父親に対して贈与税が発生する可能性があります。

 そうしないためには「親子で増改築資金の貸し借り契約書を作成し、利息なども含めて適正に精算する方法」「増改築分の資金と建物の持分の価値が等しくなるように、息子にその持分の移転登記を行う方法」「付合が生じないように、例えば1階と2階を区分所有登記で別々にしてしまう方法」などがあります。

 ただし、これらの対策を講じた場合でも、その方法によっては「父親に譲渡所得の課税」などの問題が生じる可能性もあります。

 意外と見過ごされがちですが、これはとても身近な問題ですので気になる方はご相談ください。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.08.01更新

 「税金が家計を圧迫するから、老後は海外で暮らしたほうが・・・」と考える方もいるのではないでしょうか。

 それでは実際に比較してみましょう。

 まずは消費税。欧州は税率が比較的高く、スウェーデンやノルウェーなどでは25%でイギリスやフランスなどでは20%となっています。

 アメリカでは州ごとに異なりますが8~9%台が多いようです。

 次に個人にかかる個人所得課税ですが、日本の最高税率は55%、イギリスは45%、アメリカでは約50%です。

 ただ、各国によってさまざまな控除制度などがあるため一概に税率だけで判断はできません。

 例えば、年収500万円で夫婦と就学中の子が2人の4人家族の場合では、年間にかかる税金は日本では約16万円、イギリスでは約62万円、アメリカでは約5万円と実際にはかなりの差があります。

 さらにこれに社会保険料も考慮したらどうでしょう。国民が負担した税金と社会保険料の合計金額を国民所得で割った数値を「国民負担率」といいますが、2016年の日本の数値は約43%で所得の半分近くを税金と社会保険料が占めています。

 ただ、これがイギリスでは約47%、アメリカは約33%、何とフランスでは約67%となっています。

 このような結果から突出して日本の税金が高いというわけではなさそうです。

 税金が何にどのように使われるかに注目したいですね。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.07.01更新

 最近では多くの企業がテレワーク(在宅勤務)制度を導入するようになりました。

 しかし、自宅で通常の業務を行おうとすれば電気代やインターネットの通信費など「それまで発生していなかった費用」が新たに発生する事態となります。

 そこで今回は、本来ならば負担しなくてもよい経費を従業員に負担してもらった場合、それを在宅手当として支給する際の税金の取り扱いを考えてみましょう。

 原則的には会社が従業員に支給する金品は、給与や賞与といった名目に関係なく給与課税の対象となります。

 ただし、業務の遂行上必要なものであり、本来は会社が負担すべき費用の実費を支払うのであれば「通常必要とされる範囲内」で課税されません。

 つまり従業員が業務の使用量に応じて通信費や光熱費などの明細を提示し、実費を精算するような場合は非課税となります。

 一方、会社が業務に必要な費用の補助として一律に従業員に在宅手当を支給する場合は給与課税の対象となります。

 実際にはなかなか難しいとは思いますが、従業員それぞれに実費を精算してもらったほうが給与として課税されないので社会保険料などの負担も軽くなります。

 そのためこれを機に実費精算のルールを作ってもいいかもしれませんね。

 何よりテレワークは自己管理がとても大切です。

 くれぐれも体調管理には十分に気を付けましょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.06.01更新

 昨今、オフィスや小売店など多くの場面で欠かせない存在となっている外国人労働者。

 そこで今回は「外国人の雇用」に関して、日本人の場合との相違点をお話しします。

 大きな違いは3つあります。

 1つ目は行政に届出が必要な書類が格段に多いこと。

 2つ目は言葉の壁もあるため丁寧に説明したり理解してもらうことが多いこと。

 3つ目は文化などの違いにより日本人と同じような接し方ではうまくいかないこと。

 税金や社会保険の取り扱いについては基本的には同じですが、租税条約や社会保障協定によって一部異なる場合もあります。

 例えば、外国人労働者の家族が国外にいる場合、その家族が外国人労働者本人の配偶者または親族であること、日常の生活費などを家族に送金していること、年間の所得金額が38万円以下であることなどの条件を満たせば税金を計算する上で扶養に入れることはできます。

 ただ、そのためには親族関係書類や送金関係書類などを準備する必要があります。

 また短期のアルバイトを雇い入れる際、それが中国から来た留学生であれば、アルバイト収入については日中租税協定の届出をすることにより免税となる可能性が高いです。

 このように日本人を雇用する場合と比べて留意すべき点もありますが、重要な戦力として活躍している外国人労働者は多いので一度、検討してみてはいかがでしょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.05.01更新

 2020年度の税制改正の概要が昨年末に決まりました。

 「オープンイノベーション(企業が研究開発を行う際に組織の枠組みを越え、広く知識・技術の結集を図ること)の促進などを促す措置」「連結納税の抜本的な見直し」「全てのひとり親家庭の子どもに対する公平な税制の実現」「NISA(少額投資非課税)制度の見直し」などが行われます。

 具体的には個人所得課税については、未婚のひとり親に寡婦(夫のいない女性)寡夫(妻のいない男性)控除が適用されます。

 男性のひとり親と女性のひとり親について不公平を解消する目的で所得制限(500万円以下)を統一したり、子どもがいる寡婦と寡夫の控除額(35万円)も同額となります。

 NISA制度では20年間、積み立て可能な「つみたてNISA」が5年延長されるため、2023年までに始めれば20年間の積立期間が確保されます。

 また法人課税については、一定の要件を満たしたベンチャー企業に対して大企業は1億円以上、中小企業は1000万円以上の出資を行った場合、その25%に相当する額が所得控除できます。

 この他にも持続的な経済成長の実現に向けた決定事項はたくさんありますが、この度の新型コロナウイルスによる世界規模の景気低迷により、税制に限らず経済活性化の一助となるような新たな策が臨機応変に講じられるかもしれません。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.04.01更新

 個人事業主の確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。

 この違いを簡潔にいえば、きちんと帳簿を作成して申告するのが青色申告で、簡易な帳簿で収支を計算したものが白色申告です。

 当然のことながら、青色申告を利用する人には税制上のさまざまなメリットを受けることができます。

 そのひとつに「青色申告特別控除」がありますが、これは所得の種類や記帳のレベルなどによって「65万円・10万円」のどちらかを所得から控除できるものです。

 ところが、これが2020年分の確定申告より「65万円・55万円・10万円」の3種類に分かれます。

 「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」に定められた電磁的記録の備付けおよび保存を行っている場合、またはe-Taxにより電子申告をする場合は65万円の控除が受けられます。

 しかし、そのような保存をせず、また紙で申告を行う人は控除の額が55万円になります。

 そのためこれまで10万円の控除を受けていた人は変わりませんが、65万円の控除を受けていた人は上記のいずれかの条件を満たさなければ55万円に減額となります。

 いざ始めようとしても事前に税務署長への承認が必要であったり、電子申告をする際にはマイナンバーカードなどが必要となるので早い段階での準備をおすすめします。

投稿者: 伯税務会計事務所

2020.03.01更新

 2016年度の税制改正により「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。

 いわゆる「相続空き家」を売却したときの特例です。

 人口の減少が進みつつある日本では、将来的に空き家が増えていく恐れがあります。

 また近年では全国で自然災害が多発しており、そのような状況下において旧耐震基準(1981年5月31日以前の耐震基準)の下で建築された空き家の増加を抑制することを目的にこの特例が創設されました。

 具体的には、被相続人(亡くなった方)が1人で住んでいた家屋や土地を相続などにより取得した人が売却したとき、特定の要件を満たせばその利益から3000万円を控除することができます。

 つまり3000万円までのプラスの財産であれば税金はかからないということです。

 対象となる家屋や適用要件など、この特例を受けるためには詳細な規定がありますが、大まかにいえば「家屋が旧耐震基準で建築されていること」「相続や遺贈などにより取得した、被相続人が住んでいた家屋などを売却すること」「相続の開始があった日から3年目の12月31日までに売却すること」「売却代金が1億円以下であること」などの要件を満たす必要があります。

 なお、この特例の適用期間は2023年12月31日までなので、対象となる方は早めに取り組みましょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

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