2025.10.15更新

 効率化や最適化が「良いこと」とされた時代が長く続いたせいで、私たちはあらゆる無駄を削ぎ落とし、最短ルートでゴールを目指すことに慣れすぎてしまったように思います。

 しかし、常識がどんどん変わっていく中で「無駄のない状態」こそが、新しいアイデアや価値を生み出す最大の障害になっているのでは?と思うことが増えました。

 ある老舗和菓子屋の社長は、経営効率を上げるために職人の作業時間を1秒単位で短縮しようと試みました。

 一見、すべてが順調に進んでいるように見えましたが、次第に職人の表情から活気が失われ、新しい季節商品のアイデアもまったく出なくなったそうです。

 そこで社長は、あえて「余白」を作ることを決意しました。

 毎日1時間、職人が自由に過ごせる「休憩時間ではない時間」を設けたのです。

 最初は戸惑っていた職人たちも、お互いの話をしたり散歩に出かけたりするようになると「川沿いの道端で見つけた珍しい花をモチーフにしたお菓子はどうだろう?」「子どもの頃の思い出のお菓子を再現してみよう」など、無駄に思えた時間から新しい商品が次々と生まれ、社員間のコミュニケーションも活発になるという好循環が生まれました。

 「ポストイット」や「電子レンジ」など、無駄な時間や遊び心から生まれたイノベーションは数多くあります。

 日々の仕事に追われ、頭が「やるべきこと」でいっぱいになっていると、新しい視点を持つことはなかなか難しいものです。

 一度立ち止まり、あえて「余白」を生み出してみる。その何もない「余白」から生まれる遊び心や探究心は、会社が成長していく土壌になるかもしれません。

投稿者: 伯税務会計事務所

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