2020.11.15更新

 小柄だと不利なことが多いスポーツ界において、大柄な選手に勝る活躍をしている人を「小さな巨人」といったりします。

 町工場を営むT社長は今年、何度も「小さな巨人」という言葉を思い出しているそうです。 

 それは、30代後半で自分の工場を始めたとき、心の師と仰いでいる人から送られたエールでした。

 世の中の景気の低迷で仕事がままならない今の時期に、恩師の言葉を思い出して「小さな巨人を目指してもうひと踏ん張り!」と自分を鼓舞しているそうです。

 普段はまったく思い出すこともないのに、ふとした瞬間に浮かんでくるうれしい記憶があります。

 例えば幼い頃、近所のおばあちゃんに「あんたはいい子だねぇ」と頭をなでてもらったこと。

 算数のテストが12点だったとき「名前が上手に書けたから」とナイショで3点をおまけしてくれた担任の先生。

 退職するとき、それほど親しくなかった人から「あなたの明るさにいつも励まされていました」とお礼を言われたこと。

 その多くはたいがい小さな出来事であり、とても個人的なものですが、記憶の断片が花びらのように舞い降りてくると、そのとき感じたうれしさが鮮やかによみがえってきたりします。

 おばあちゃんの手の感触。担任の先生の温かいまなざし。実は自分をちゃんと見てくれていた人。

 もう何十年も前のことなのに、思い出すと今でも心強い気持ちになる。

 そんな記憶が人を支えているのではないかと思います。

 色々な人たちが自分を気にかけてくれていて、自分は大切にされていたんだなぁと気付くとき、人は感謝と共にやさしい気持ちになるものです。

 「商売が思うようにいかないこともあるけれど、そんなときこそ大切にしてもらった記憶が“自分は大丈夫!”という強さになる」とT社長は言います。

 それは根拠のない「大丈夫」かもしれないし、実のところ目の前の状況は大丈夫ではないときもあるけれど、日々淡々と「自分は大丈夫!」と感じながら生きていくことが商売の希望をつなげていくのではないでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

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