2018.12.15更新

 四季折々で表情を変える美しい自然の風景は、日本の魅力として世界に広く知られています。

 けれどこの夏は、アフリカから来た観光客に「日本のほうが暑い!」と言わせるほどの猛暑でした。

 天候でも植物の生育でも生き物の生態でも「季節外れ」という言葉が「異常」の代名詞にもなっている現代ですが、昔の日本には季節外れを受け入れる風流がありました。

 例えば、俳句の季語では時節を過ぎて鳴く虫の音を「忘れ音」といいます。

 時節が過ぎ去ってから咲く花は「忘れ花」。

 返り咲きした花は「返り花」。

 春半ばの降りじまいの雪は「雪の果」「忘れ雪」「別れ雪」「涅槃雪(ねはんゆき)」など情緒たっぷりに表現されます。

 歌人にとっての季節外れは異常ではなく、風情や個性なのでしょう。

 「外れる」という言葉には「予測や期待と違う結果になる」「通常の基準に合わなくなる」「一定の枠や基準を超える」という意味もあります。

 「一億総中流社会」に象徴された昭和から「多様化」の平成になり、多様化という言葉さえすでに古いと感じるくらい価値観が枝分かれして複雑になりました。

 凝り固まった価値観やルールからの脱却を「さよなら、おっさん」と表現した広告が賛否両論を呼んだのは記憶に新しいところ。

 「個」の時代がますます加速していくと言われる今、外れること自体が価値を創造していくようにも感じます。

 しかし、長年商売をしていると、変化を求めながらも外れることを避けようとするのはよくあることです。

 口では「変わりたい」と言いながら、実は今に甘んじていたいという気持ちは、ごく一般的な心理でしょう。

 それでも私たちは、外れた事象を受け入れる遺伝子を受け継いでいます。

 しかも「激動の昭和」と「多様性の平成」の両方を経験している世代は、故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知るバランス感覚も持ち合わせているのではないかと思います。

 人によっては3つの年号をまたいで商売をしていく人もいるでしょう。

 過去にとらわれず「外れる」勇気を持って新しい時代に望みたいものですね。

投稿者: 伯税務会計事務所

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