2024.03.01更新

 国税庁は令和4事務年度の「所得税および消費税調査等の状況」を発表しました。

 実地調査の件数、非違件数、申告漏れ所得金額の総額および追徴税額の総額は増加し、その1件あたりの申告漏れ所得金額などについても高水準とのことでした。

 主な取り組みとしては、富裕層に対する調査は増加し、申告漏れ所得金額も過去最高だった昨年を上回る980億円に上りました。

 また海外投資やインターネット取引(暗号資産等取引を含む)に対する調査では、いずれも申告漏れ所得金額は高水準でした。

 このような調査をする際は、事前に国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度などを活用し、入手した情報を分析してから積極的に調査を行っているようです。

 今年度の申告漏れ上位の業種は経営コンサルタント、くず金卸売業、ブリーダーと続き、1位の経営コンサルタントの1件あたりの申告漏れ所得金額は3367万円、追徴税額は676万円でした。

 ちなみに前年度の1位も経営コンサルタントでした。

投稿者: 伯税務会計事務所

2024.02.01更新

 2024年4月1日から相続登記が義務化されます。

 登記簿を見ても所有者が不明な土地が全国に多数あり、周辺の環境悪化や公共工事が阻害されるなどの社会問題を解決するために義務化されることになりました。

 これにより相続人は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが義務となりました。

 正当な理由がないのに相続登記をしない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。

 また2024年4月1日より前に相続した不動産も義務化の対象となるので要注意です。

 相続人の間で遺産分割の話し合いが難しい場合には「相続人申告登記」という簡易な手続きを法務局で行い、義務を果たすこともできます。

 さらに「遠くに住んでいて利用する予定がない」などの場合は、相続により取得した土地を手放して国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」というものもあります。

 相続税の申告が必要ない人でも、不動産を相続した場合は必ず相続登記を行いましょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2024.01.04更新

 先日、国税局の税務調査を受けた地ビールの製造販売会社が、過去3年間に出荷した缶ビールについて「発泡酒に該当する」と指摘を受け追徴課税されたようです。

 わが国では、その製造方法や原料によってさまざまな酒類に分けられて税金がかかります。

 発泡性酒類については「ビール」「発泡酒」、第三のビールとも呼ばれる「その他の発泡性酒類」に分けられます。

 ビールと発泡酒の違いは、原料である麦芽の使用割合により区分されます。

 また麦芽の使用割合だけではなく、その原料や製法によって税率が細かく分けられて複雑です。

 2023年10月から、この複雑な体系をより簡単なものに一本化することなどを目的に、2026年までに段階的に税率が変更されます。

 350ミリリットル缶に換算すると、改正によりビールでは約6円引き下げられ、第三のビールは約9円引き上げられて、これまで約32円あった差が約16円まで縮まりました。

 3年後に一本化したときは350ミリリットル缶では約54円の酒税となる予定です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.12.01更新

 万が一のときのために個人で火災保険に加入している家庭も多いと思います。

 不幸にも火災が発生してしまった場合、支払われる保険金は損害を埋め合わせる資金であるため、所得税法では非課税とされています。

 また支払われた保険金が実際の損害額よりも少なく、その保険金だけで損害の全てを補うことができなかった場合は「雑損控除」として確定申告をすれば、税金が還付されることもあります。

 しかしながら個人が小売業などの事業を営んでいる場合、例えばその店舗において火災が発生して商品等が消失し保険金を受け取った場合には、その保険金は事業収入として計上しなければなりません。

 つまりその保険金は、税金の申告対象となるのです。

 一方、法人契約の火災保険の場合、例えば不動産賃貸業などを営んでいる会社の建物が、火災に遭った際に支払われる保険金は、全て課税の対象となります。

 このように契約形態の違いなどによって、支払われる保険金に関する税金の取り扱いもさまざまとなります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.11.01更新

 2022年度の財務省の発表によれば、税収は前の年度よりも4兆995億円ほど増えて71兆1374億円となりました。

 70兆円を超えたのは初めてで、3年連続で過去最高を更新しています。

 税収が増えた要因としては、物価高による消費税収が増えたこと。コロナ禍からの企業業績の回復による法人税収が増加したこと。

 さらには賃上げの動きが広がったことによる所得税収が伸びたこと。

 いわゆる基幹税であるこの3つの税収が、増加したことが要因と考えられます。

 税収で一番多かったのが消費税の23兆793億円、次いで所得税の22兆5217億円、法人税の14兆9398億円で、この基幹税の合計で60兆円を上回っています。

 リーマンショック後に一番落ち込んだ2009年度の38.7兆円と比較すると、約22兆円も上回っています。

 一方で歳出については、新型コロナウイルス感染症や物価高騰に対応する予算を計上しながらも、結果的に使う必要のなくなった不用額が11兆3084億円と過去最大となりました。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.10.01更新

 「小規模企業共済制度」をご存じでしょうか。

 これは小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。

 この制度は「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が運営しています。

 掛金が全額所得控除できるため節税効果が高く、その掛金は毎月1000円から7万円まで、500円単位で自由に設定することができ、加入後の増額または減額も可能です。

 廃業や退職時等の共済金の受け取り方法は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が可能で、一括の場合は退職所得扱い、分割の場合は公的年金等の雑所得扱いとなるため、共済金を受け取るときも税制のメリットがあります。

 また資金繰りなどが一時的に厳しくなったときは解約ではなく、掛金の7~9割の範囲内で事業資金の貸付制度を利用することができます。

 貸付制度は即日の貸し付けも可能であり、しかも低金利なので安心して利用することができます。

 多くのメリットがある制度なので、未加入の方は一度、検討してみてはどうでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.09.01更新

 国税庁はストックオプションに対するQ&Aを公表しました。

 その中で信託型ストックオプションについて「権利行使時に給与として課税する」ということを示しました。

 信託型ストックオプションとは、従業員が自社株式を購入する価格を会社側が設定した上で信託し、信託会社が従業員に配布する仕組みであり、スタートアップ企業(新興企業)を中心に導入されています。

 これにより従業員が得た利益は、比較的税率が低い譲渡所得(約20%)にあたるとの認識で利用する会社も増えていました。

 しかし今回の国税庁での説明では、給与所得(最高税率約55%)にあたるとのこと。

 国税庁はこれについて従来の取り扱いを変更したものではないとして、会社側が与えた権利を従業員が行使して株式を取得した時点で実質的な給与にみなされ、すでに行使済みの従業員に対しても会社側がさかのぼって所得税の源泉徴収の必要があるとしました。

 今回の説明により多くの企業でさまざまな対応が求められそうです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.08.01更新

 所得税法に規定する「非永住者以外の居住者」は、その年の12月31日において5000万円を超える国外財産を有する場合、その財産の種類、数量、価額等を記載した国外財産調書を所轄税務署長に提出しなければなりません。

 国税庁の発表によると2021年分の提出状況は、総提出件数が12109件、総財産額は5兆6364億円で8年連続で増加しており、集計が始まった2013年以降いずれも最高となりました。

 財産の種類としては有価証券が最も多い3兆5695億円、次いで預貯金が7591億円、建物が4474億円の順となっています。

 この調書は自主的に自己の情報を記載し提出するものなので、特例措置が設けられています。

 期限内に提出した場合、所得税等の申告漏れが生じたときでも加算税が5%軽減されます。

 しかし期限内に提出がない場合、または提出した調書に記載すべき財産の記載がない場合は、その財産に係る所得税等の申告漏れが生じたときには、加算税が5%加重されるなどの措置があります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.07.01更新

 今回は2023年度の税制改正のポイントについてお話しします。

 個人所得課税については、家計の資産を貯蓄から投資へと資産所得倍増につなげるべく、NISA制度の拡充と恒久化措置が講じられました。

 それにより「つみたて投資枠」については年間上限額を120万円に拡充し、新たに設けられた「成長投資枠」の年間投資上限額を240万円に拡充するとともに「つみたて投資枠」との併用が可能となりました。

 資産課税については、相続時精算課税制度における基礎控除(年110万円)の創設により、この制度の選択後も毎年110万円以下の贈与については贈与税の申告が不要。

 また資産移転の時期に対する中立性を高める観点より、暦年課税における相続前贈与の期間を3年から7年に延長したほか、延長した期間に受けた贈与のうち100万円については相続財産に加算しない見直しが行われました。

 この他、法人課税については研究開発税制の見直し、先導的人材投資に関する税制の創設なども行われました。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.06.01更新

 2023年10月1日よりインボイス制度が開始されます。

 これにより適格請求書発行事業者(登録事業者)のみが適格請求書(インボイス)を交付することができます。

 制度の開始後は、これまでの請求書等の保存に代えて適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。

 登録事業者でない免税事業者等からの課税仕入れについては、仕入税額控除を行うことができなくなります。

 しかし2023年10月から2029年9月までは、免税事業者等からの課税仕入れについて、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

 具体的には、2023年10月1日から2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%を仕入税額として控除できます。

 ただしこの適用にあたっては、免税事業者等から受領する区分記載請求書等と同様の事項が記載された書類の保存と、その内容を記載した帳簿の保存が必要となります。

投稿者: 伯税務会計事務所

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