2023.06.01更新

 2023年10月1日よりインボイス制度が開始されます。

 これにより適格請求書発行事業者(登録事業者)のみが適格請求書(インボイス)を交付することができます。

 制度の開始後は、これまでの請求書等の保存に代えて適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。

 登録事業者でない免税事業者等からの課税仕入れについては、仕入税額控除を行うことができなくなります。

 しかし2023年10月から2029年9月までは、免税事業者等からの課税仕入れについて、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられています。

 具体的には、2023年10月1日から2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%を仕入税額として控除できます。

 ただしこの適用にあたっては、免税事業者等から受領する区分記載請求書等と同様の事項が記載された書類の保存と、その内容を記載した帳簿の保存が必要となります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.05.01更新

 「103万円の壁」や「130万円の壁」という言葉を見聞きした方も多いと思います。

 最近では「106万円の壁」という言葉もありますが、今回は前者の2つの金額の壁についてお話しします。

 103万円は税法上の扶養の壁、130万円は社会保険上の扶養の壁です。

 給与による年収が103万円以下であれば所得税はかかりません。また103万円以下でアルバイトをしている子どもや配偶者を扶養に入れることができます。

 配偶者の場合は、103万円超であっても201.6万円未満であれば配偶者特別控除という制度で38万円から1万円までの控除を受けることが可能です。

 一方、130万円の社会保険上の壁は、130万円までの収入であれば、扶養者の社会保険上の扶養に入ることができます。

 よくあるケースですが、配偶者が扶養の範囲内で働きたい場合は「所得税がかからない程度なのか、社会保険の扶養範囲内までなのか」など、いろいろな金額の壁を考えながらワークライフバランスと家計にベストな方法を検討する必要があるでしょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.04.01更新

 「今期は利益が出そうなので、決算直前でもできる節税対策はないでしょうか」という相談を受けました。

 このような場合の節税対策のひとつに「短期前払費用の特例」という制度があります。

 通常では費用の支払いをしても、サービスの提供を受けていない来期分の「前払費用」については、当期の経費に算入することができません。

 しかし一定の条件を満たせば当期の経費とすることができます。

 その条件とは「契約によって継続的にサービス提供を受けるために支出したものである」「支払日から1年以内にサービス提供を受けるものである」「支払った金額を継続してその事業年度の経費にしている」です。

 例えば、決算月などに1年間分の事務所家賃を前払いする契約に変更し、その1年分の家賃を支払えば経費として算入することができます。

 なお支払利息のように、収益と対応させる必要があるものについては認められません。

 また期間限定の広告代など継続的でない場合も特例が適用されないことがあるので注意が必要です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.03.01更新

 今回は夫婦と子どもが2人の4人家族だった場合の相続について考えてみましょう。

 夫婦の一方が亡くなり、残された配偶者と子どもが相続をしました。これを「1次相続」といいます。

 その後、残された配偶者も亡くなり、子どもが相続をしました。これを「2次相続」といいます。

 肝心なことは、1次相続での財産の分け方しだいで、1次と2次の合計の相続税額が数百万円も変わってくる場合があるということです。

 例えば遺産が1億6000万円だったとして、次のパターンで計算してみました。

 (1)1次相続:残された配偶者が8000万円・子が4000万円ずつ/2次相続:子が4000万円ずつ、

 (2)1次相続:残された配偶者が全額の1億6000万円/2次相続:子が8000万円ずつ。

 それぞれの合計相続税額は

 (1)1330万円、

 (2)2140万円

となり810万円の差が出ます。

 では(1)の方法が良いのかといえば、必ずしもそうとはいえず、遺産の内容や家族状況によってさまざまなので総合的に判断することが大切です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.02.01更新

 国税は、申告した税額に基づき納税者自身が期限までに納付する必要があります。

 これまでは金融機関の窓口で納付したり、指定した口座からの振替による納付がほとんどでした。

 ところが最近ではクレジットカードやインターネットバンキングなどを利用した納付、e-Taxによるダイレクト納付、コンビニでのバーコード納付などといったいろいろな方法があります。

 これに加えて2022年12月1日からスマートフォンのアプリによる「Pay払い」が可能になりました。

 これまでにもクレジットカードを使った納付はありましたが、利用者が金額に応じた手数料を負担する必要がありました。

 しかしPay払いでは手数料は発生せず、利用者に負担が生じません。

 現在、利用可能なPay払いは6種類あります。

 「アカウント残高を利用した支払い方法のみ利用可能」で、一度の納付での上限額は30万円です。

 キャッシュレス法をもとに税金など国や市町村への支払いのキャッシュレス化はますます進んでいくでしょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2023.01.01更新

 経済協力開発機構の調査によると、日本の平均賃金は1990年からほとんど上がっていない状況です。

 ところが欧米では1.5倍近く上がっています。

 政府は成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現するため企業による賃上げを考えており、民間企業の賃上げを支援すべく2022年4月1日より開始する事業年度を対象に「賃上げ促進税制」がスタートしました。

 中でも中小企業向けでは、青色申告書を提出する中小企業等については2022年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度(個人事業主は2023年および2024年の各年)において、前年度比で給与等を1.5%以上増加させた場合は15%の税額が、2.5%以上増加させた場合は30%の税額が控除されます。

 さらに教育訓練費を前年度比で10%以上増加させると10%の控除が上乗せされます。

 ただし税額控除額の上限は税額の20%です。

 企業の節税と従業員のモチベーションアップの相乗効果が期待できそうですね。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.12.01更新

 今回は「誤って税金を多く納めていたり、もしくは少なく納めていたことに気がついた場合の対処方法」についてお話しします。

 計算間違いなどで税金が正しく納められていなかった場合には当然、訂正をすることになります。

 しかし「多く納めていた場合」と「少なく納めていた場合」とでは訂正の仕方が異なります。

 まず「多く納めていた場合」は「更正の請求書」という書類に訂正事項を記載して提出します。

 その際の注意点は、原則として法定申告期限から5年以内に行わなければならないということです。

 一方で「少なく納めていた場合」は「修正申告書」を提出します。

 こちらも法定申告期限から5年以内ですが、悪質な行為が発覚した場合は7年以内まで延長されます。

 この場合、追加の税金を納めるとともに、過少申告加算税(悪質な行為の場合は、過少申告加算税に代えて重加算税)や延滞税などの附帯税を納付する必要があります。

 なおこの附帯税は損金(いわゆる経費)には算入することができません。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.11.01更新

 今回は「8年前に購入した金地金を売却したら110万円の儲けが出た」というケースでの「譲渡所得」についてお話しします。

 譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいいます。

 対象となる資産には土地、建物、ゴルフ会員権などが含まれます。

 営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合は譲渡所得ではなく「事業所得」や「雑所得」となりますが、会社員などが持っている金地金を売却した場合は原則、総合課税の譲渡所得となります。

 これは所有期間が「5年以内である短期」と「5年超である長期」とに分けられます。

 計算方法は「金地金の譲渡益」と「その年の金地金以外の総合課税の譲渡益」を足したものから「譲渡所得の特別控除」の50万円を引きます。

 また「短期」の場合は全額が課税の対象になり「長期」はその2分の1が課税の対象となるという違いもあります。

 今回のケースは長期なので、110万円から特別控除額の50万円を引いた60万円の2分の1である30万円が譲渡所得の金額となります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.10.01更新

 税金は決められた期限までに納める必要があります。

 例えば法人税は決算日の翌日から2カ月以内に納付しなければなりません。

 期限までに納付しなかった場合、納期限の翌日から2カ月を経過する日までは「年7.3%」か「延滞税特例基準割合+1%」の低いほうを、納期限から2カ月を経過する日の翌日以後については「年14.6%」か「延滞税特例基準割合+7.3%」のどちらか低い割合で計算した延滞税というものが本来の税金以外にかかってきます。

 ちなみに延滞税特例基準割合とは、財務大臣が告示する平均貸付割合に、年1.0%の割合を加算した割合のことです。

 また延滞税以外にも過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税といった多くの加算税もあります。

 これらの税金は、法人税を計算する上では損金不算入となり経費として認められません。

 一方で社会保険料や労働保険料についても、納期限までに保険料を納めなかった場合、同様に延滞金を支払わなければなりません。

 ただしこの延滞金については、法人税を計算する上では損金に算入することができます。

 同じ罰則的な意味合いの延滞金を支払っても、処理の仕方はまったく異なります。

 いずれにしても本来は支払う必要のないお金です。

 税金や社会保険料などは、しっかり資金繰りをして期限までに納めるように心掛けましょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.09.01更新

 法人企業統計調査をご存知でしょうか。

 これは営利法人などの企業活動の実態を把握するために、標本調査として実施されている統計法に基づく基幹統計調査のひとつです。

 財務省の財務総合政策研究所が1948年以降、毎年行っている調査です。

 この統計調査の中には、業種別・資本金階級別の役員賞与や役員給与の額があります。

 2022年2月に最新年度である2020度の統計年報が発表されました。

 金融・保険業を除いた全産業の平均役員給与は約466万円、平均役員賞与は約13万円でした。

 全体による平均役員給与の上位5業種は、1位から純粋持株会社(約1220万円)、化学工業(約897万円)、非鉄金属製造業(約835万円)、自動車・同付属品製造業(約797万円)、鉄鋼業(約758万円)でした。

 ちなみに純粋持株会社とは、自らは事業活動を行わず、主に子会社の指揮監督を目的とした会社のことです。

 やはり資本金が大きいほど報酬の額も多くなる傾向にあり、全産業において資本金1000万円未満企業の平均役員給与が約358万円に対し、資本金10億円以上企業になると約1771万円となっています。

 金融・保険業以外では58業種、金融・保険業については10業種でそれぞれの資本金階級別に集計されているため、ご覧いただければ自身の業種の状況がよく把握できるのではないでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

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