2018.01.04更新

 平成29年度の税制改正で、事業承継税制(非上場株式に関する贈与税・相続税の納税猶予制度)の見直しがありました。

 今回の改正では「雇用要件の見直し」と「生前贈与の税制優遇強化」がポイントになります。

 これまで事業承継税制の適用を受けるには、従業員数を5年平均で80%維持する必要がありました。

 しかし、小規模な企業では従業員が4~5人のところも珍しくありません。

 例えば4人の従業員が3人になれば75%になってしまいます。

 昨今の深刻な人手不足の状況下で、特に小規模な企業が従業員数を維持することは大変難しく、事業承継税制の適用は高いハードルでした。

 そこで今回の改正では、小規模な企業でも事業承継税制を活用しやすくなるように、従業員5人以下の場合は1人減っても適用ができるようになりました。

 また従来は贈与税の納税猶予の適用を受けていても、その猶予期間中に雇用などの要件を満たせなくなると適用は取り消され、高額な贈与税を支払う必要がありましたが、今回の改正で相続時精算課税制度との併用が認められるようになりました。

 相続時精算課税は贈与額のうち最大2500万円までを控除でき、控除額を超えた場合も超えた金額の20%の贈与税を納めればよいので、贈与税納税猶予が取り消しになった場合の負担が軽減されることになります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.12.01更新

 「私が所有する土地に娘夫婦が家を建てて20年ほどになります。

 私には娘と息子の2人の子どもがいるのですが、娘が暮らすその土地は娘に相続をさせたいと考えています。

 私が亡くなった後に遺産相続で子どもたちに争って欲しくないため、今のうちに手を打っておきたいので何か対策を教えてください」というご質問がありました。

 「わが家に限って」と思いたいところですが、遺産相続でもめるケースは少なくないようです。

 しかし、もめないためにと何の対策もなく生前に贈与をしてしまうと、多額の贈与税がかかることに・・・。

 そこで、知っておきたいのが「相続時精算課税」という制度です。

 この制度は、60歳以上の祖父母・父母から、20歳以上の子・孫に対して財産を贈与した場合、2500万円までであれば贈与財産の種類や金額、回数に関係なく贈与税がかかりません。

 ただし、相続時にその贈与した財産も他の相続財産に含めて相続税の計算をすることになります。

 メリットは、事前に財産が移転できるので争族のリスクが減ることや、将来、値上がりするような財産であれば、贈与時の評価で固定されるため相続税の負担を軽減できることでしょう。

 デメリットは、一度この制度を選択すると暦年控除が使えなくなることや、相続に比べて不動産の登記コストが高くなることなどでしょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.11.01更新

 「結婚して30年以上が経ちます。

 結婚当初に購入した現在の住まいはずいぶん古くなり、あちらこちらで修繕が必要になってきました。

 そのためこの機会に、建て替えをしようと思っています。

 資金については私の退職金を利用するつもりですが、建物の所有権登記では妻にも2000万円程度の持分を持たせたいと思っています。

 このような状況ですが、贈与税がかからない方法はないものでしょうか?」といったご質問がありました。

 結論から言いますと、今回のご質問者の場合は「贈与税の配偶者控除」という特例を適用すれば贈与税はかかりません。

 これは婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円までの控除(配偶者控除)ができるという特例です。

 ただし、同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか適用を受けることができません。

 また日本国内にある居住用不動産が対象になるため「海外移住をするため海外での住まい購入の際に利用する」ということもできません。

 その他には、贈与税はかかりませんが不動産取得税や登録免許税はかかります。

 また建物の持分により相続時の小規模宅地等の特例や、譲渡時の居住用財産の3000万円特別控除等を利用する際の適用要件に影響しますので注意が必要です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.10.01更新

 「中小企業経営強化税制」は、従来の中小企業投資促進税制の上乗せ措置が改められて独立した制度になったものです。

 サービス産業はわが国GDPの約7割を占めています。

 その生産性の向上を図るために、今回は対象設備に工具器具備品(ルームエアコン・冷蔵陳列棚など)や建物附属設備(エレベーター・高圧受電設備など)が加わりました。

 この制度には、青色申告書を提出する中小企業者等が平成29年4月1日から平成31年3月31日に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得等して指定事業で利用するなどの条件があります。

 設備は生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)の2つがあり、A類型は「生産性が旧モデル比で年平均1%以上向上する設備」とされ機械装置・測定工具および検査工具・器具備品・建物附属設備などが、B類型は「投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備」とされ機械装置・工具・器具備品・建物附属設備などが対象です。

 法人税、所得税の税制措置としては、即時償却(購入事業年度に取得価額の100%を償却)または取得価額の10%の税額控除(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)があり、いずれかを選択することができます。

 また新たに購入した設備にかかる固定資産税は3年間、半額になります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.09.01更新

 研究開発投資を増やして企業競争力を高めることなどを目的に、研究開発税制が見直しされました。

 改正前は「総額型」「増加型」「高水準型」「オープンイノベーション型」の4つに分かれていましたが、その中の「増加型」と「高水準型」は平成28年度末までの時限措置でした。

 改正後は「増加型」が「総額型」に組み込まれ、「高水準型」は適用期限が2年間延長され、「総額型」「高水準型」「オープンイノベーション型」の3つになりました。

 「総額型」の税額控除率は、試験研究費の増減に応じて6~14%(中小法人は12~17%)に拡充されました。

 控除限度額も一定の要件を満たした場合、従来の法人税額の25%に0~10%の上乗せが可能になりましたが、高水準型との選択制となります。

 ただしどちらの上乗せも2年間の時限措置となります(税額控除率については一定率以上)。

 また「オープンイノベーション型」は手続きの見直しにより使い勝手の向上が図られています。

 近年では、IoTやビッグデータ、人工知能などを活用した「第4次産業革命」が進展しています。

 これらの技術を活用する新たなビジネス開発を後押しするために、これまでの製造業による「モノ作りの研究開発」に加えて、ビッグデータなどを活用した第4次産業革命型の「サービスの開発」が試験研究費の定義に追加されました。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.08.01更新

 税務調査はさまざまありますが、おおよそ「課税処分のための調査」「滞納処分のための調査」「犯則事件のための調査」の3つに分類できます。

 「課税処分のための調査」とは、課税処分をするための資料を収集することを目的とした調査です。

 納税者の申告内容が正しいかどうかを判断するために、帳簿や請求書などの書類をチェックします。

 これは国税通則法に規定されている質問検査権に基づく調査になります。

 「滞納処分のための調査」とは、滞納になっている税金がある場合、滞納処分手続きをするにあたり滞納者の財産の有無・所在・種類・数量・価額・利用状況・第三者の権利の有無などを明らかにする調査です。

 これは国税徴収法による調査となります。

 「犯則事件のための調査」は、査察調査のことを指します。

 不正の手段を使い故意に税を免れた場合には、正当な税を課すほかに刑罰を科すことが税法に定められています。

 この調査は、裁判官の許可を得ているので任意調査ではなく強制捜査になり、実質的には刑事手続きと同じように進められます。

 国税庁の発表によると法人税の実地調査件数は、平成24事務年度9.3万件、平成25事務年度9.1万件、平成26事務年度9.5万件となっています。

 日本の法人数が約260万社ですから、実地調査は3.5%前後の割合で行われていることになります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.07.01更新

 個人が上場株式などを保有・譲渡した場合のお話です。

 株式などを保有して配当金が、または譲渡をして譲渡益があった場合などには 税金がかかります。

 株式取引をする口座には「一般口座」や「特定口座」などがあり、一般口座は自分で年間の譲渡損益を計算して確定申告を行います。

 特定口座には「源泉徴収口座」と「簡易申告口座」があり、源泉徴収口座では金融商品取引業者等(証券会社など)が年間の譲渡損益等を計算して源泉徴収するため原則、確定申告は不要になります。

 源泉徴収税率は、所得税・復興特別所得税15.315%に住民税5%の合計20.315%となります。

 簡易申告口座は、金融商品取引業者等が年間の譲渡損益を計算してくれますが、確定申告は自分で行います。

 譲渡した株に損失が生じた場合は確定申告をすることにより、3年間損失を繰り越せて翌年以降の譲渡益と損益通算することが可能です。

 平成26年よりNISA(少額投資非課税制度)がスタートしており、現在では年間120万円(最大非課税投資総額120万円×5年間)を上限として非課税投資枠が設定されています。

 この非課税口座(NISA口座)を利用すると、上場株式などの配当金や譲渡益が非課税になります。

 なお、平成28年4月からは20歳未満を対象としたジュニアNISA制度(年間上限額80万円)もスタートしています。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.06.01更新

 平成30年分から「配偶者控除」と「配偶者特別控除」が改正されます。

 現状では配偶者の給与収入が103万円以下であれば、38万円の所得控除が受けられます。

 また103万円を超えた場合でも要件を満たせば、141万円未満まで所得に応じた配偶者特別控除が受けられます。

 改正後のプラス面は、配偶者控除が適用される配偶者の給与収入が103万円以下から150万円以下になることでしょう。

 これにより、いわゆる「103万円の壁」が遠のきます。

 控除を受けるために働く時間を抑制していた人は、これまでよりもっと多く働くことができるようになります。

 また配偶者特別控除の上限についても、配偶者の給与収入の141万円未満が201万円以下になります。

 特別控除額は150万円を超えると徐々に減額され、201万円を超えるとゼロになります。

 マイナス面は、納税者本人の合計所得が1000万円を超えると配偶者控除がゼロとなり増税になる点でしょう。

 また合計所得が900万円超950万円までは26万円に、950万円超1000万円までは13万円に減額されます。

 現状では、多くの企業で配偶者手当の支給基準が103万円であることや、社会保険の被扶養者基準が130万円であることも、働き方を決めるうえで考慮する必要がありそうです。

 ちなみに、配偶者に給与以外の収入がある場合は、それらを合算して判断するため注意が必要です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.05.01更新

 2017年1月より始まったセルフメディケーション税制は、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進することを目的としています。その結果、国の財政を圧迫している医療費の適正化にもつなげたい考えです。

 この制度利用にあたっては、健康の維持増進および疾病の予防として、健康診断や予防接種、がん検診を受けていることなどの条件があります。

 セルフメディケーション税制は、本人または生計を同じくする家族が購入したスイッチOTC医薬品の額が1年間で12000円を超えると、その超えた額(上限額88000円)をその年分の総所得金額等から控除することができます。

 一方、従来からある医療費控除は、本人または生計を同じくする家族が対象で、自己負担した医療費等が1年間で10万円を超えると、その超えた額を控除することができます。

 ただし、セルフメディケーション税制と従来からある医療費控除制度の併用はできないため選択が必要になります。

 なお、スイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品のことをいい、処方箋なしで買える市販薬です。

 2017年分の確定申告からは、自己負担した医療費等が10万円を超えていないかだけでなく、スイッチOTC医薬品の購入額が12000円を超えていないかについても確認してみましょう。 

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.04.01更新

 平成25年度の税制改正により、平成27年以後に亡くなられた人から相続税の基礎控除額が引き下げられました。

 これにより相続税の課税対象となった被相続人の割合が、前年の平成26年分に比べて3.6%増加したということが国税庁の平成28年12月の発表で分かりました。

 発表によると平成27年中(平成27年1月1日~平成27年12月31日)に亡くなられた人は全国で約129万人(平成26年は約127.3万人)でした。

 このうち相続税の課税対象となった被相続人は約10.3万人(平成26年は約5.6万人)で、課税割合は8%(平成26年は4.4%)と前年に比べて2倍近くも増加しました。

 近年の相続税の課税割合は4%程度を推移していましたので、今回の基礎控除額の引き下げによって大幅に増えたことが分かります。

 相続税の課税価格の合計は約14.6兆円で、被相続人1人当たりにすると約1.4億円となっています。

 またこれによる相続税の納税額は約1.8兆円で、1人当たりでは1758万円になります。

 相続財産の金額の構成比は土地が1番多く38%で、その他は現金・預金等が30.7%、有価証券14.9%、家屋5.3%、その他11.0%となっています。

 平成25年度の税制改正によって課税の対象となる人が増えた現在では、「相続税は一部の富裕層だけのもの」という考えは見直す必要がありそうです。

投稿者: 伯税務会計事務所

前へ 前へ

entryの検索

月別ブログ記事一覧

カテゴリ