2025.06.15更新

 自分で思い描いた通りの人生を生きている人はどれくらいいると思いますか?

 ある調査によれば1%もいないそうです。商売も同じではないでしょうか。

 業績の拡大、理想の企業文化、事業承継の成功など、経営者であれば理想的な会社の未来図を繰り返し思い描くと思います。

 しかし残念ながら、その通りに進むことは少ないです。突然の経済変動が事業計画を吹き飛ばすこともあれば、業務拡大を夢見ていた矢先に取引先が撤退することもあります。

 信頼して目をかけていた幹部社員から突然、退職を告げられたときなど、もう本当にがっくりですね。

 しかし、ここに重要な真実があります。「思った通りにはならないが、やった通りにはなる」ということです。

 どんなに素晴らしいアイデアや理想を持っていたとしても、それが実現するかどうかは「やったかどうか」にかかっています。

 つまり、大事なことは行動すること。

 予期しない出来事は数え切れませんが、どんな状況でもあなたの行動がその後の展開を大きく左右します。

 今まで以上に先行きが見えない時代に商売を続けていくには、足元の一歩一歩が頼りです。

 種をまけば、たとえ期待した作物が育たなくても何かは生えてくるでしょう。

 それが思いがけない収穫をもたらすことはよくあることです。

 日々の小さな決断や努力が、気づかぬうちに大きな流れとなって事業を形作っていくなら、行動し続けることで新たなチャンスを切り開くこともきっとできるはずです。

 繰り返しますが、行動の痕跡は必ず残ります。

 未来は思った通りに展開しないかもしれませんが、やった通りには開けていくのです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2025.05.15更新

 「2人の囚人が鉄格子から外を見ていた。1人は地面の泥を見て絶望した。もう1人は空に輝く星を眺めて希望を抱いた」。

 これはアイルランドの詩人、フレデリック・ラングブリッジの「不滅の詩」の一節で、大ヒットマンガ『ジョジョの奇妙な冒険』でも引用された有名な言葉です。

 2人の囚人の目に映るものは同じでありながら、その見方は対照的です。

 1人は下を向き、見えるのは足元の泥のみ。

 もう1人は上を向き、星空の輝きを見つめる。

 この詩は、同じ状況でも視点によって意味合いがいかに変わるかを端的に表現しています。

 人生の困難に直面したとき、あなたはどこに視点を向けるでしょうか。

 足元の泥、すなわち現実の苦しみや制約にばかり目を奪われると心は絶望で満たされます。

 しかし視点を変え、希望を象徴する星を見つめることで心に光を灯すことができるのです。

 この対比は、単なるポジティブ思考・ネガティブ思考の違いではありません。

 それは自分の置かれた状況を解釈する力。そして、未来への可能性を見出す能力の差ではないかと思います。

 商売の場面でも同じです。

 思うようにならないとき、問題に囚われるか、それとも解決策を探し続けるか。限界だとあきらめるか、それとも創造性を発揮するか。起こった出来事自体より、そこから何を見出し、どう解釈するか、そしてどう行動するかによって、まったく異なる展開が広がっていきます。

 愚痴や批判が多くなったら自分に問いかけてみてください。

 「泥を見るか、星を見るか」と。結局のところ、人生も商売も「視点」という選択肢によって形作られているのだと思います。

投稿者: 伯税務会計事務所

2025.04.15更新

 誰とどのように付き合うかで人生の色彩は大きく変わります。

 この観点から見ると、人との関わり方には興味深い三つの層があるように思えます。

 まず同じ顔ぶれとの付き合いを好み、そこに終始する関わり方。

 これは確かに居心地良いものの、新しい視座を得る機会は限られ、ともすれば自己満足の殻に閉じこもりがちです。慣れ親しんだ環境に安住するあまり、自身の成長の可能性を狭めてしまう危うさをはらんでいるでしょう。

 仮にこれを「三流の関係性」とした場合、多くの人々との出会いを追い求めるのは「二流の関係性」といえそうです。

 多様な出会いは大いに刺激的で価値もありますが、それが表層的な名刺交換程度で終わってしまっては本末転倒です。広く浅い人間関係は一見、華やかに見えても「数」を重視すると、本質的な心の通い合いを欠いてしまうことが多いです。

 では「一流」と呼ばれる人々に共通するのは、どのような形の関係性か。

 それは、目の前の一人一人を大切にする姿勢です。その時、その瞬間の対話に真摯(しんし)に向き合い、相手との信頼関係を丹念に紡いでいく。

 決して効率や利益だけを追求するのではなく、互いを理解し、尊重し合う関係を築くことで、結果として揺るぎない人脈が、自然と形成されていくのだと思います。

 人間関係に完璧な答えはありませんが、目の前の出会いを大切にする姿勢は、人生を豊かにする鍵となりそうです。

 新しい出会いを大切にしながらも、一期一会の精神で一人一人との関係性を深めていく。

 せっかくなら「一流の関係性」をベースにした商売に励み、人生そのものを豊かにしていきたいものです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2025.03.15更新

 植物の生育過程には、私たちの人生に通じる深い知恵が隠されています。

 例えば麦は若芽の時期に踏まれることで、かえって力強く成長します。

 乾燥地帯の木々は、水を求めて太い根を地中深くまで伸ばし、その結果として強風にも耐えうる強靭(きょうじん)さを獲得します。

 またトマトは必要最小限の水で育てたほうが、より凝縮された味わい深い実をつけることがよく知られています。

 これらの自然の摂理は、私たちの人生における困難や試練の意味を考えさせてくれます。

 快適な環境で育った植物は、表面的には順調に見えても、実は浅い根しか持たず、わずかな風雨で倒れてしまいかねません。

 同様に人生における日々の苦労や困難は、私たちの内面に深い根を張らせる機会となります。

 苦境に直面したとき、それを単なるつらさとして避けるのか。

 それとも自己を強化する機会と捉え直すのか。

 それは新たな商売への挑戦かもしれませんし、人間関係のいざこざ、あるいは健康上の問題かもしれません。

 いずれにしても困難だと感じるのは、まだその経験が不足しているからともいえるでしょう。

 誰もが何らかの苦労を抱えています。表面的には順風満帆に見える人の人生も、実は見えないところで深い根を張る努力を重ねているかもしれません。

 逆境こそが私たちを成長させる肥沃(ひよく)な土壌となり、つらい状況は自己を強化できるありがたい出来事となる。

 そう解釈できたら、日々の困難は、より大きな試練に備えるための準備期間となるに違いありません。

 何事も忍耐強く取り組めば、やがてその苦労は糧となり、想像以上の強さを身につけることができると信じて進みたいものです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2025.02.15更新

 「キング・オブ・ジャズ」とたたえられたルイ・アームストロング。

 通称「サッチモ」で親しまれていた彼の『What a Wonderful World(この素晴らしき世界)』は発売から50年以上経った今でも名曲として愛されていますが、SNSでこんなコメントを読みました。

 「もともといい曲だと思っていたけれど、サッチモが生きていた時代や彼の境遇を知った上でこの曲を聴いたら100倍感動して、世の中の見方が変わった」。

 黒人が公然と差別を受けていた時代に同胞である黒人社会からも「アンクル・トム」とやゆされていたサッチモが、66歳で心臓病を患ったときに作ったのが『What a Wonderful World』でした。

 歌詞をご存じない方はネット検索してみてください。

 背景を知ることで「好き」が深まり、新しい視点でこの世界を見ることができる。これは素晴らしい経験だと思います。

 「これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」。

 論語の有名な一節で「知識を持っているだけの人は、それを心から好きな人にはかなわない。

 そして、それを好きなだけの人も、それを心から楽しんでいる人にはかなわない」という意味です。

 つまり、何かを「知っている」だけではなく、それを「好き」になり「楽しむ」境地に達することで、より深く本質を理解し、生かせるようになるという教えです。

 学びや物事への取り組み方の重要な心構えですが、商売においても参考になる考え方だと痛感しました。

 良いこともそうでないことも区別なく、目の前のことをただひたすら楽しもうとすると、この世界も商売も素晴らしいものになるのでしょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2025.01.15更新

 ヘビは成長するにつれて脱皮を繰り返すそうです。

 「脱皮できないヘビは滅びる」とは、古い殻に閉じこもったままの人間はダメになるという格言です。

 企業も人も成功体験にこだわりを持ちますが、成功体験から脱皮できずに同じことを何度も繰り返していては、いずれ滅びてしまうでしょう。

 常識や価値観も「古い殻」になりがちです。とはいえ、古い殻を破っていくのは簡単なことではありません。

 そこでまず自分のふるまいを変えてみることにチャレンジしてみませんか。ヒントは「おひたし」と「かつおぶし」です。

 おひたしの「お」は怒らない。「ひ」は否定しない。「た」は助ける。「し」は指示しない。

 かつおぶしの「か」は完璧を求めない。「つ」はつまらないことはしない。「お」は穏やかな心。「ぶ」は不格好でいい。「し」は縛りすぎない。

 さていかがでしょう。「おひたし」と「かつおぶし」が身につけば、明らかに古い殻を破っていけると思いませんか。

 ふだんは怒りっぽい人が怒らないだけで、周りの人は「あの人、ずいぶん穏やかになったね」と好意的になるでしょう。

 違うと思ってもまずは受け止め、うるさく指示したり束縛したりする代わりに相手を尊重し、時にはさらっと手助けをしてみたり。

 そして少しくらいできが悪いと思っても「まぁ、いいか」とやり過ごせる器の広さ。人に対してはもちろんのこと、自分に対しても完璧を求めず、不格好な自分も受け入れて愛することが、古い殻を破る一番の方法だと思います。

 2025年がどんな年になるとしても「おひたし」と「かつおぶし」で脱皮をし続け、新しい扉の向こうを見たいものです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2024.12.15更新

 2024年も残りわずかとなりました。

 今年も色々ありましたが、同じ状況でも人によって結果が異なるのは不思議なものだと思います。

 おそらくそこには目に見えない何らかの「差」があるのでしょう。

 例えば「自信」の差はどこから来るのかといえば「準備」の差ではないかと思います。

 よく「段取り八分」などといいますが、自分で納得できるまでとことん準備を重ねておくと、どんな場面に遭遇しても堂々としていられそうです。

 スポーツ選手から学んだのは「技術」の差は「練習」の差だということです。毎日1分の練習でも1年後には365分。なんと6時間も練習したことになります。

 これが10分なら60時間。1時間なら365時間で15日分に相当します。まさに「コツコツは力なり」ですね。

 商売で何より大事な「信用」に差がつくとしたら、ひとつは「誠実」の差でしょうか。約束は必ず守る。相手の話はしっかり聞く。

 言動一致の誠実さは間違いなく信用のもとです。そして「成果」も商売には欠かせません。

 「成果」に差をもたらす最大の要因としてあげたいのは「習慣」の差。能力、知識、スキル、環境、運など成果に影響する要素はいくつもありますが、残念ながらこれらは人によって異なります。

 しかし「習慣」は誰もが実行可能です。つまり「習慣」は誰でも成果を出せる唯一の方法であり、小さな習慣がやがて大きな成果をもたらすのだと思います。

 最後は「幸福」の差です。皆さんも今一度、考えてみてください。私の答えは「感謝」の差。何事に対しても感謝の気持ちがあればこそ、どんな状況でも人生を豊かにしてくれるものだと信じています。

投稿者: 伯税務会計事務所

2024.11.15更新

 商売においてお金はとても大事なものですが「お金で買えるものと買えないもの」は、区別したいものです。

 例えば「薬」は買えても「健康」は買えません。「肉」は買えても「筋肉」は買えません。

 お金で物は手に入っても、健康や筋肉は本人の努力や習慣のたまものです。

 成功者がSNSで筋肉や美をアピールするのは、お金があるだけでは手に入らないことを実感しているからでしょう。

 健康や筋肉は、それほどまでにステータスなのです。

 また「本」は買えても「知識」は買えません。

 本の内容を自分の言葉で語れるようになって初めて「知識」になるとしたら、その背景には勉強や志といった、お金で買えないものが存在しています。

 さらに今どきは「友達」や「出会い」も買えます。

 趣味のサークルに会費を払って参加したり、有料の婚活アプリに登録したりと、楽に人と知り合えるチャンスが増えたのは良いことだと思います。

 しかし人間関係を深めていこうと思ったら、素直に自己開示するオープンマインドやコミュニケーションスキル、思いやりや感謝といった人間力が必要となります。

 つまり「友達」や「出会い」は買えても「友情」や「愛」は買えないというわけです。

 経営者にとって耳が痛いことを言うならば「地位」は買えても「尊敬」は買えません。

 「会社」は買えても「実績」は買えません。

 その理由は言うまでもなく、だから商売は大変で、だから楽しく、すべて自分次第だと思えば、何を大事にするかが見えてくるのではないでしょうか。

 最後に「家」は買えても「家庭」や「家族」は買えません。

 当たり前に思っている日々の尊さが改めて身に染みますね。

投稿者: 伯税務会計事務所

2024.10.15更新

 「初心忘るべからず」。

 人生の中で何十回も見聞きしたこの言葉は、もともと世阿弥(ぜあみ)の『風姿花伝(ふうしかでん)』の中に記されたものです。

 能楽の文脈で語られた教えが、商売の世界にも通じる普遍的な知恵であることを今一度、思い出してみたいと思います。

 経営者にとって「初心」とは創業時の志や熱意を指します。

 なぜ会社を立ち上げたのか。誰のために何を実現しようとしたのか。

 商売を続けていく上で、初心は原点でもあります。

 同時に「初心」には、常に新たな気持ちで臨むという意味もあります。

 商売が上向いてくると、慢心やおごりが生まれやすくなります。

 しかし市場は絶えず変化し、新たな課題が次々と生まれます。

 そのたびに初心者の目線で状況を見直し、柔軟に対応する姿勢を忘れないようにしたいものです。

 また「初心忘るべからず」の精神は、イノベーションの源泉にもなります。

 今までの成功体験に安住せず、新しい価値を作り続けていく挑戦こそが、商売の持続的成長には不可欠でしょう。

 さらには、顧客や従業員との関係性にも応用できる考え方です。

 商売が拡大すると、個々の顧客や従業員との距離が遠くなりがちです。

 新規顧客や今の従業員はもちろん大切ですが、創業期からのご縁に対する感謝を忘れていないでしょうか。

 今は関りがないとしても、会社を支えてくれた大事なご縁に違いはありません。

 「初心忘るべからず」は単なる格言ではなく、日々の意思決定や行動の指針となる極めて実践的な心構えです。

 現状が良くてもそうでなくても、日々初心にかえることができたら、商売も人間性も真の意味で成熟していけるように思います。

投稿者: 伯税務会計事務所

2024.09.15更新

 仕事上で意見が割れたとき、あなたはどう対処しますか?

 孔子の『論語』にこんな一節があります。「君子和而不同(君子は和するも同ぜず)」。

 これは「人と協力することはあっても、人の意見や態度にむやみやたらに同調しない」という教えです。

 この簡潔な一節には、商売の神髄ともいえる深い英知が秘められています。

 和するとは調和を保つこと。同ぜずとは、自身の個性を失わないこと。

 この、一見相反する2つの要素のバランスこそが、商売の成功へとつながる道だと思います。

 たとえ少人数の会社でも、時には意見の食い違いから衝突することもあるでしょう。

 しかしその中で調和を見出しつつ、各々が自身の独自性を失わない。

 そう簡単にはいかないものではありますが、そこに価値ある対話が生まれるのは確かです。

 調和を保つとは単なる同調ではありません。それは相手の立場を理解し、尊重する姿勢です。

 経営者といえどもチームの一員と捉えれば、全体の調和を乱さない配慮を持ちつつ、同時に自分自身の信念や創造性を失わない。

 この絶妙かつ微妙なバランスを保つことこそが、真のリーダーシップだと孔子は述べています。

 調和を重んじるあまり自己を殺してしまったり、逆に自己主張が強すぎて周囲とのあつれきを生んだりすることもありますが、その狭間で揺れ動くのが経営者かもしれません。

 だからこそ孔子は「和して同ぜず」を「君子」の特質としてあげ、理想の姿として私たちに示したのでしょう。

 日々の決断の中で調和と個性のバランスを取り続ける。その積み重ねがやがて企業文化となり、会社の個性となっていくのではないでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

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