2022.12.15更新

 過去は決して変えられない。おそらくそう思っている方が多いでしょう。

 ところが「記憶」は変えられるとしたらどうでしょうか。

 「記憶を引き出す」という言い方をするせいか、私たちは記憶を固定的な「もの」のように考えがちです。

 しかし実のところ、記憶は非常にあいまいなものであり「もの」ではなく脳の一種の「状態」なのだとか。

 ですから、思い出すときの心理状態で記憶の中身が変わることもあります。

 例えば、盛大に夫婦げんかをした記憶。それを気分が良いときに思い出すと、あれほど頭にきた相手の言動がそれほど気にならず、むしろ「こちらも悪かった・・・」と反省もできる。

 ところがイライラしながら思い出すと「やっぱり頭に来る!」と怒りが再燃。このような経験はありませんか?

 夫婦げんかという「過去の出来事」は変わりませんが、嫌な記憶を良い気分で思い出すことによって「記憶の印象」をガラッと染め変えることができるのです。

 思い出すときの気分が記憶の印象を左右するのは、未来に対しても同じことです。

 将来を良い気分で思い描いておけば、この先、将来を思うたびに「良い感じ」がよみがえって、ますます将来像が良い感じになっていくでしょう。

 逆に暗い気持ちで将来を思い描けば、先のことを考えるたびに暗い気持ちもよみがえって、明るい見通しが立たなくなります。

 つまりばら色の未来を望むのであれば「今」をばら色の気分で過ごし、記憶を「ばら色」に染めておく、というわけです。

 実際の出来事はともかく、気分はばら色で商売する。

 単純なことですが、これからの日本を考えると、これはやってみる価値は大いにありそうです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.11.15更新

 「平成の経営の神様」稲盛和夫さんが亡くなりました。

 そのため「昭和の経営の神様」松下幸之助との共通点に言及した記事をよく目にします。

 最大の共通点は、経営に「哲学」を持ち込んだこと。この意見には深く納得しました。

 松下幸之助は「人間探求」と「宇宙の法則」を説き続けました。稲盛さんの経営哲学は、あの有名な「京セラフィロソフィ」です。その基本は「全社員の物心両面の幸福を追求」。

 経営破綻したJALを再建するために乗り込んだときの「JALフィロソフィ」の冒頭にも、この言葉が書かれていました。

 これは稲盛さんが実践を通して得た人生哲学であり、根底には「人間として何が正しいか」という問いかけがありました。

 物事を判断するとき、常に「これは人間として正しいか」を自分に問いかけていたのです。

 経営者としてはもちろんですが、稲盛さんが唱える「六つの精進」などを読むと、人間力の高さにも圧倒されます。

 「誰にも負けない努力をする」「謙虚にしておごらず」「反省のある毎日を送る」「生きていることに感謝する」「善行、利他行を積む」「感性的な悩みをしない」。

 立派すぎて引け目を感じてしまうほどですが、最も見習いたいところは未来を信じる力です。

 稲盛さんは常に「私にはすばらしい人生がひらかれている」と思い続けてきたそうです。

 「非常に単純なことですが、自分の未来に希望をいだいて明るく積極的に行動していくことが、仕事や人生をより良くするための第一条件」だと語っていました。

 つい不平不満を言いたくなるご時世ですが、希望を持ってとにかく行動することは、今この瞬間からできそうです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.10.15更新

 帝国データバンクによれば、今年100周年を迎える日本企業は1065社。

 「100年企業」は約3万社(日経BPコンサルティング調査/2020年3月時点)にものぼるそうです。

 世界の「100年企業」が約8万社なので、日本は世界でもまれに見る長寿企業大国なのです。

 振り返ってみれば、100年前は第一次世界大戦後の不況が続き、関東大震災があり、また戦争があり、高度経済成長期を経験してオイルショックが2回あり、その後バブル経済やITバブルがはじけ、リーマンショック、阪神淡路大震災、東日本大震災、そしてコロナが世の中を大きく変えました。

 こんな苦難な時代を乗り越えてきた「100年企業」には、キユーピー、ハウス食品、清水建設、竹中工務店、小学館、任天堂、グリコ、旭化成など、誰もが知っている有名企業がずらりと並びます。

 2011年版中小企業白書によると、創業5年以内に廃業する率は約2割。

 そんな状況の中、100年以上の歴史を重ね、今なお経済をリードしている企業には3つの共通点があるようです。

 「変化をいとわない」「社員を大事にする」「地域貢献」。中でも注目したいのが「変化をいとわない」です。

 物事がある程度長く続くと、過去の成功体験やしがらみなどに縛られて大胆な選択ができなくなってきます。

 すると「ここまで続けてきたからやめるわけにはいかない」という気持ちが大きくなり、継続していくことが目的になってしまいがちです。

 しかし現状維持は衰退の第一歩。長く続けていくためには、今までとは違う選択をすることが継続への活路になることもあります。

 革新的なことをすると批判も受けますが、常識に捉われずにチャレンジし続けた結果の「100年企業」なのでしょう。

 日本のコンビニの父、鈴木敏文さんは以前「人間は一方で何かにしがみつきながら、もう一方で新しいことに挑戦することはできません。

 自分では一歩踏み出したつもりでも、思うように前に進まない人は、無意識のうちに何かにしがみついているのかもしれません」と言っていました。

 自分は何かにしがみついていないだろうか。迷ったら変化を選ぶ大胆さと勇気を持ちたいものです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.09.15更新

 面白い実験をご紹介しましょう。

 AとBのグループを作り、グループAにはまず「足りないもの、手に入れたいもの」を書き出してもらい、次に「自分がすでに手に入れて恵まれていると思うもの」を書き出してもらいました。

 グループBには先ほどと逆に、まず「恵まれていると思うもの」を、次に「足りないもの」を書き出してもらいました。

 実験の結果、どちらのグループも「先に書き出した項目」の数のほうが多かったそうです。

 つまり、物事の捉え方は意識の向け方で変わるというわけです。「恵まれている」と思えば恵まれているものを探し「足りない」と思えば足りないところを探す。これは人間の脳の特性でもあります。

 自分の力量に応じた言動をしたり、望みを持ったりする例えとして「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」ということわざがあります。

 実業家の稲盛和夫さんは、この言葉を引用して「業績はリーダーの器の大きさ、つまり“器量”の分にしかなりません」と言っています。

 さらに「器量」について「人生観、人間性、哲学、考え方。あるいは人格という言葉に置き換えてもいいでしょう」と表現し「業績を立派にしていこうとするなら、リーダーが人間性を高め、人格を磨いていく以外に方法はありません」と述べています。

 大層な話に聞こえますが、例えば「足りない」と思うより「恵まれている」と思って商売してごらんなさい、という教えではないでしょうか。

 「足りない」ところに意識を向けがちな経営者は「できていない」「やっていない」「もっと頑張れ」とよく口にします。

 従業員の士気を高めるためだとしても、毎日「足りない足りない」と言われ続ける従業員の身になれば気の毒な話です。

 片や「恵まれている」と思うものに意識を向けている経営者が、日頃からどんな言葉を使っているか、皆さんならお分かりでしょう。

 稲盛さんの著書『心を高める、経営を伸ばす』の副題は「素晴らしい人生をおくるために」です。

 色々な人が色々なことを言いますが、結局は人格を高めることが商売を伸ばし、素晴らしい人生をおくれるという、ごく当たり前でシンプルなお話でした。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.08.15更新

 コロナによって大きく変わった状況を表す言葉として思い浮かぶのは「不易流行(ふえきりゅうこう)」です。

 「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」。

 江戸前期の俳人、松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅をしながら会得した概念だといわれ、その示唆に富んだ教えは現在でも多方面で支持されています。

 「不易」とは変わらないもの。時代を経ても世の中が変化しても、決して変わらないもの、もしくは変えてはいけないもの。

 「流行」とは世の中の変化に伴って変わっていくもの、もしくは変えていく必要があるものです。

 商売でいえば、理念やミッションが「不易」に当たるでしょう。

 その志をどう実現していくか。

 時代や社会の変化を見据えた取り組みが「流行」だと思います。

 コロナ禍で急速に発展したテクノロジーはイノベーションを促し、常識を大きく変えました。出社しなくても仕事ができ、オンラインで顧客とコミュニケーションをとれます。

 大金を払って大々的に広告宣伝しなくても、無料のデジタルツールを活用して集客することも可能です。

 しかしこうした「流行」は、時代に合わせて新しいことをやってみるという単純な話ではありません。

 芭蕉はさらに「その本は一つなり」、すなわち「両者(不易と流行)の根本は一つ」とも述べています。

 つまり「流行」は「不易」という原理原則があってこそ。

 原理原則に立ち返って物事の本質を問い、その上で新たなことを冷静に判断できる情報・知識・マインドセットを持っていなければ、ただ「流行」に惑わされるだけです。

 コロナで「流行」は加速しましたが「不易」は変わりません。

 商売にとっての「不易」は何か。

 「不易」の何たるかを知っているからこそ逆風でも歩みを止めず、常識に捉われないで変化に対応し、新しい展開を作っていけます。

 おくのほそ道は全工程2400キロ。約150日間の旅でした。

 旅路で詠んだ俳句の数を思えば、思索の旅だったともいえるでしょう。これから先も何が起こるか分かりません。

 その時々で最適な「流行」を捉えるために、原理原則を洞察する努力を惜しんではいけないと思うこの頃です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.07.15更新

 社員は人材ではなく「人財」です。

 「最幸」の出会いが「成幸」を引き寄せます。

 難があるから「有り難う」。辛いときこそ爽やかに笑い、前を向いて「顔晴ろう」。

 ビジネス本やインターネット上などで、独自の意味を込めた当て字をよく見かけます。

 こうした当て字を皆さんはどう思いますか?

 あるアンケートでは約47%の人が「気持ち悪い」と答えていました。

 気が利いていると感じる人がいる一方、違和感を覚える人も同程度いるようです。

 確かに度が過ぎると気持ち悪い感じもしますが、当て字はともかく、意味はその通りだと思ったのは「4つのシゴト」です。

 シゴトには4つの種類がある。

 1つ目は、自分自身を押し殺して嫌々働く「死事」。

 2つ目は、自分のやりたいことだけやって周りのことはどうでもいい「私事」。

 3つ目は、人に仕えて、その指示に従う「仕事」。

 お客さまに仕え、会社に仕え、上司に仕え、誰かに仕える働き方を「仕事」というなら、志や信念を持って、自分のためではなく人のために行う仕事が「志事」。

 「仕事」が進化しすると「志事」になるというわけです。

 単なる言葉遊びと片づけるのは簡単ですが「志事」をもう少し掘り下げてみたいと思います。志や信念を持つとはどういうことでしょうか。

 それは「覚悟すること」ではないかと考えます。

 覚悟にはいくつかの意味がありますが、一般的には困難を予想してそれを受け止める心構えを指します。つまり覚悟とは、不安や面倒なことに立ち向かう勇気ではないかと思います。

 多くの人は、経験を積むほど体より口のほうがよく動くようになり、理屈や言い訳が増えます。

 しかし頭で考えているだけでは、何も起こらないのはご存知の通りです。とにかく動く。小さな事でも何かやってみる。まずは試してみる。

 モノやサービスを売る商売では製品化する前に試作しますが、それと同じ発想で、何でも実験だと思ってプロトタイピング(試す)してみるくらいの軽やかさが、今の時代に必要な能力ではないかと思います。行動は「幸道」。幸せへの道です。

 というオチはさておき、覚悟を決めて事を成していきたいものです。

 

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.06.15更新

 お店や会社などのトイレに名言が貼ってあると、つい読んでしまいます。

 聞いたことのある言葉でも、一人の空間でリラックスしているせいか、妙に心にしみたりします。

 ここ最近は、困難を乗り越えるための心構えを説いた言葉に出会うことが増えました。

 印象に残っているのは『安岡正篤 活学一日一言』の言葉です。

 「世に知者は多いが、時を知ること。難を知ること。命を知ること。退を知ること。足るを知ること。五知を養い得て、始めて能(よ)く難局に当ることができる」。

 宋(そう)の賢人・李繹(りえき)の『五知先生伝』からの引用だそうです。

 SBIホールディングスの北尾吉孝社長も、自著の中で「能(よ)く難局を乗り越えるために」と題して「五知」について書かれていました。

 「時を知る」とは、タイミングを逃さず、時には時流を捉え、臨機応変に対応することが大事であるということ。

 「難を知る」とは、難局を乗り切るための策を常に考えて行動し、最悪の状況に備えておくこと。

 「命を知る」とは、日頃の仕事の中で自分の能力や強みを知り、自分の生かし方を模索して自らを開拓していくこと。

 「退を知る」とは、退くべきときに退く勇気を持つこと。前向きに攻めることも大事ですし、守りを固めることも同じくらい大事であるという意味です。

 「足るを知る」とは、今の自分にないものを探すより、今あるもの、与えられているものを探し、それらを生かし、感謝しながら歩んでいくこと。単に知識を得るのではなく、この「五知」を養い得て、はじめて難局に立ち向かえるというわけです。

 この貼り紙を見かけたのは何度か行ったことのある飲食店でした。

 コロナの前にはなかったと記憶しているので、ここ2年ほどの間に貼ったのでしょう。

 このお店が直面した難局はどれほどのものだったのか。どんな気持ちでこれをトイレに貼ったのか。そんなことを思いながら、ポケットからスマホを取り出して貼り紙を写真に収めました。

 そして席に戻るとメニューの中から一番高い料理を注文しました。同じく商売を営む身として、見ず知らずのオーナーにエールを送りたいと思ったのです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.05.15更新

 鎖国を続けていた日本にペリーが来航した19世紀。世界ではイギリスを中心とした欧米諸国で産業革命が急速に進み、個人の生産効率を最大限に発揮することが重要だと考えられていました。

 いつの時代でも、個人の生産効率が商売を左右する状況は変わらないようです。では個人の生産効率は何に左右されるのか。今も昔も、会社の業績を支えている要素のひとつは社員のモチベーションではないでしょうか。

 ある調査によれば「やる気にあふれる」社員の生産性は、単に「満足している」社員と比べて約2.3倍高いという結果も出ています。

 話を19世紀に戻して当時、フレデリック・ハーズバーグというアメリカの臨床心理学者が「何が人をやる気にさせるのか」という研究をして「モチベーション理論」を提唱しました。

 その理論によれば、人に「満足をもたらす要因」と「不満足をもたらす要因」は必ずしも同じではない。

 しかも満足をもたらす要因が満たされるとモチベーションは上がるけれど、不満足をもたらす要因を満たしても、不満足の解消になるだけで満足感やモチベーションが上がるとは限らないことを明らかにしたのです。

 気になるのは「満足をもたらす要因」の内容です。お金か、肩書か、休みか、人間関係か。実はこのどれでもありません。

 人に満足をもたらすのは、達成感、評価、責任ある立場、昇進、成長などで、つまり仕事そのものや仕事から得られる精神的な成長が満足につながり、やる気を引き出すそうです。

 一方、不満足をもたらす要因は、給与、福利厚生、経営方針や管理体制、同僚や上司との関係など。ここから分かるのは、給与が低ければ不満になるけれど、給与を上げても不満が解消されるだけで社員のやる気にはつながらないという、経営者をガックリさせる話です。

 これをご自身の商売に当てはめてみてください。コロナ禍で大変なときは売り上げが上がればすべてうまくいくと思いがちですが、状況はそれほど単純ではなさそうです。

 コロナは一種の産業革命だという見方もあります。何が自分のやる気になるか。中長期的な視点で考えてみたいものです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.04.15更新

 アップルの創業者スティーブ・ジョブズが残した名言のひとつに「好きなことを仕事にしよう」があります。

 ジョブズのこの言葉に背中を押され、自分の好きなことをして生きていきたいと、多くの人が考えるようになりました。

 しかし似たような発想は古来からありました。紀元前5世紀には、孔子が「汝の愛するものを仕事に選べ、そうすれば生涯一日たりとも働かなくて済むであろう」と述べています。

 さて現代の日本人はどうでしょうか。

 アメリカのギャラップ社が世界139カ国の企業に行った調査によれば「熱意を持って仕事に取り組んでいる」と答えた日本人は全体のわずか6%。逆に「やる気がない」と回答した人は実に70%にのぼり、この数字は世界で132位の最下位クラスでした。

 ここで考えてみたいのは、好きなことを仕事にすれば熱意をもって取り組めるのか?ということです。

 「愛するものを仕事に選べ」と説いた孔子は『論語』の一節でこうも言っています。

 「これを知る者はこれを好む者にしかず、これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」。つまり「物事を理解して知っている人は、それを好んでいる人には及ばない。物事を好んでいる人は、それを心から楽しんでいる人には及ばない」という意味です。

 好きこそものの上手なれ、ではありますが、物事の上達や達成には「好き」より「楽しむ」のほうが原動力となるのでしょう。

 さらには「楽しむ」が働き甲斐や生き甲斐になっていくのだと思います。

 うまくいかないとき、目の前に困難が立ちはだかったとき、考えに考え抜いて、もがいてもがいて、できることは何でもやった。

 そんな経験をお持ちでしょうか。その経験を経て今があるとしたら、あなたは苦しみも楽しみの一部と捉えて逆境を乗り越えられたのではと想像します。

 苦しいものはどうしたって苦しいし、大変なことは大変です。

 それでも、すべては成長のための経験だと楽しめる人は、折に触れて「何のために」に立ち返っているように思います。

 志あるところに道あり。逆境も楽しめるようになれば、本当の意味で一人前だと自負してもよいのではないでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

2022.03.15更新

 鍋料理を囲むとき、頼まれてもいないのにその場を仕切る人のことを「鍋奉行」と呼びます。

 最初から最後まで全て自分で作ってしまうタイプ。食材の切り方や入れる順番、さらには食べるタイミングまで事細かに指示するタイプ。色々な鍋奉行がいますが、必ずしも鍋料理にたけているわけではありません。

 仕切りたがりな人に対する皮肉を込めて「鍋奉行」と呼ぶこともあります。

 鍋奉行だけを集めて鍋パーティーをやったらどうなるか?そんな実験をした人がいます。

 結果からいうと「めちゃくちゃうるさい!」の一言だったそうです。

 全員にこだわりがあり、それを譲らない人たちの集まりなので当然と言えば当然のこと。実験の主催者は「これが職場だったら・・・」と苦笑いしていましたが、確かに仕切りたい人ばかりの職場を想像するとげんなりしますね。

 経営者でも鍋奉行タイプの人がいます。人に指図ばかりしたり、逆に何でも自分でやらないと気が済まなかったり。

 経営者の仕事は「決断」だといわれます。

 決断とは、心をはっきりと決め、きっぱりと断を下すこと。ところが鍋奉行タイプの経営者は、決断を「仕切ること」だと勘違いしているようです。

 仕切りたがりな人は人に指図をします。

 リーダーシップのある人は人との対話を大事にします。

 「俺についてこい!」と部下をグイグイ引っ張っていくリーダー像が輝いた時代もありましたが、今は人を巻き込んでチーム力をいかす力が求められているようです。

 平時のときは「After you(みんなを見守っているよ)」。

 有事のときは「Follow me(私についてきなさい)」。そんな姿勢が支持されそうです。

 古典から読み解けば『論語』の中庸という教えからもリーダー論を学ぶことができます。A案とB案がある場合、双方に良いようにするわけではなく、間を取るわけでもなく、両方の話をよく聞いて、その上で全く新しいC案を出す。

 偏りのない「中」をもって道をなす概念でリーダーシップを捉えると、全く新しいC案という決断に至るのでしょう。

 中庸には及ばずとも、鍋も商売も指図より対話で進めて、みんなで分かち合いたいものですね。

投稿者: 伯税務会計事務所

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