2013.10.15更新

ある日、一人の社長が知性的な女性秘書を従えて、プレゼンテーション会場に乗り込んだそうです。名の知れた経営者が20人ほど参加する身内的な集まりの中で、彼は新しい事業のプレゼンをすることになっていました。

時間はわずか3分間。誰かのピンチヒッターだったようですが、彼にはビッグチャンスです。とはい え百戦錬磨の猛者達を相手に、資金も人脈も知名度も実績もない人がプレゼンをしても、普通なら相手にもされないでしょう。

ところがその場の全員が彼のプレゼンに真剣に耳を傾け拍手喝采し、彼の事業に支援を申し出た人までいたそうです。プレゼンの3分間に奇跡が起こった・・・のであればドラマティックですが、実はすべて彼のシナリオ通りだったようです。

プレゼンをすることが決まったとき、彼はまず「自分」をプレゼンする方法を考えたそうです。どこの馬の骨かもわからない男の話を聞いてもらうには、プレゼンの前に第三者に自分を底上げしてもらうしかない。

社会では人をだます行為は決して許されないが、自分をアピールするプレゼンの場だからこそ演出として認められる場合もある。そこで彼は知性的な女友達に「1日だけ僕の秘書になってほしい」と依頼したのです。

プレゼン当日、女性秘書は猛者達と名刺交換する彼のとなりで、にこやかに微笑みながら絶妙なタイミングで彼を立て、彼の経歴や将来のビジョンを的確にかつ手短に伝え、その間に飲み物を用意して猛者達に勧めたそうです。「私は社長の素晴らしいビジョンに共感を覚えています」。気立てが良くて気が利いて賢い。

こんな秘書からそれほどまでに敬意を示されるこの男は、ただ者ではないかもしれない。彼はこうして名刺交換の時点から「自分をプレゼン」し、成功するための土壌づくりをしたのです。

彼は言いました。「経営者には優れたプレゼン力が必要だ」。資金や人脈や知名度がなくてもプレゼン力があると自分や会社、商品のファンを増やすことができるのです。

多くの人から応援してもらう仕組みづくりや戦術を考えることは、経営者にとって大切な仕事のひとつではないでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

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