2019.07.15更新

 ある製品の売り上げがガタ落ちしたので急いで直近の顧客アンケートを見直したところ、なんと8割もの人が「満足」「とても満足」と答えていた――。

 まるでホラー映画のような現象が実際に起こっています。

 これは、お客さまに悪意があったわけではなく、質問の仕方を工夫する必要があったのだと思います。

A:「あなたは、この製品(サービス)に満足しましたか?」

B:「あなたは、この製品(サービス)を友人や同僚に勧めたいと思いますか?」

 一見すると似たような質問で、どちらも顧客のニーズを問うことに変わりはありませんが、実は質問から得られる結果に大きな違いがあります。

 Aは「顧客満足度」を調べるための典型的な質問で、いわゆる「CS」と呼ばれる手法です。

 対するBは「顧客推奨度」を調べるための質問で「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」と呼ばれる手法です。

 NPSとは、企業やブランド(製品・サービス)に対する顧客の信頼度・愛着度(顧客ロイヤルティー)を数値化する指標のこと。

 測定方法はシンプルで、顧客は「勧めたいですか?」という質問に0~10点の11段階評価で答えます。

 9~10点は満足度も再購入率も高く、他者にも勧めたいという「推奨者」。

 7~8点はそれなりに満足しているけれど他人に勧めるほどでもない「中立者」。

 0~6点は製品やサービスに不満を持っていて、悪評を広める可能性もある「批判者」。

 推奨者の割合から批判者の割合を引いた値がNPSの数値となります。

 要するに「他者への推奨度」を点数で評価するので、これまで数値化が難しいとされていた、製品やサービスに対する「愛着度」を見える化できることが大きな特徴です。

 CSが過去から現時点での満足度評価なのに比べ、NPSは「勧めたいと思いますか?」という未来の予測行動を点数化します。

 そのため今後の売り上げや成長率に直結すると考えられ、近年はNPSを導入する企業が増えています。

 「顧客の言葉を信用するな」とは言いません。

 「顧客の本音が拾える問いかけ」も先を読む商売のコツというわけです。

投稿者: 伯税務会計事務所

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