2009.11.09更新
【政権交代で今後の税制はどうなるの?】
・今年の夏は政治が大きく動きました。さて、政権が交代したことにより、税制はどのように変わるのでしょうか?
・今回いくつか変わる候補のなかに、自動車関連の暫定税率廃止というものがあります。現在、1Lあたりガソリンで25.1円、軽油で17.1円の課税がされています。また、自動車重量税においては0.5トンあたり3800円、自動車取得税は2%が暫定税率として本来の税率に上乗せされています。
・これらは1973年のオイルショックに、石油消費を抑制する目的で導入されたのがはじまりです。
・そもそも暫定税率とは「特定の政策目的のために、一時的に本来の税率とは異なる税率を適用する」ものです。ですから、目的が達成されれば元に戻すのが本来の姿なのですが、三十数年前から現在まで続いてきたのが、この自動車関連の暫定税率です。
・今回、これを見直すために暫定税率を廃止し2.5兆円の減税をするとともに、ガソリン税、軽油引取税は、地球温暖化対策税(仮称)として一本化。自動車重量税と自動車税も一本化。自動車取得税については、消費税との二重課税を回避する観点から廃止の方向で議論を行っていくようです。
・当時に比べてグローバル化が進み、時間の流れも圧倒的に早い現代だからこそ、その時代に応じた国民が納得できる税制改正をおおいに期待したいものですね。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.10.22更新
【ビール1缶あたりの税額、ご存知ですか?】
・ビール類の2009年上半期(1~6月)出荷量で、「発泡酒」と「第三のビール」のシェアが初めて5割を超え、「ビール」の出荷量を抜いたそうです。不況下の節約志向を受けて、価格帯が割安な新ジャンルの「第三のビール」が一層人気を集めているのが原因のようです。
・現在、ビール類はビール・発泡酒・第三のビールがあり、これらは、お酒の定義や分類、税率など基本的な事項が定められている「酒税法」により分類されています。そして、この酒税法ですが、たびたび改正が行われています。
・ビールより税率が低く、売れ行きを伸ばした発泡酒は、1996年10月と2003年5月の二度、税率が引き上げられました。その後、第三のビールが誕生し、発泡酒に変わって伸びてきたのですが、2006年5月には第三のビールも最大で350ml缶で3.8円の増税となりました。
・現在、350ml缶のビールでは77円、発泡酒では約47円、第三のビールでは28円が課税されています。このように比較すると、まだまだ発泡酒や第三のビールの課税額は少ないようです。
・ただでさえ税収不足に苦しむ政府ですから、この勢いで第三のビールが伸び続けると、再度「増税」ということも十分に考えられます。今後もビールメーカーの新商品開発と、国の課税強化のイタチごっこは続きそうです。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.09.07更新
【損?得? ガラス張りのサラリーマン】
・「個人事業主には経費という大義名分があっていろいろ調整できるけど、
サラリーマンにはそういったものがないガラス張りの状況。
・だから個人事業主は、経費を使って税金を少なくできるから羨ましいな~」と
いった感じのお話をたまに耳にすることがありますが、果たしてどうでしょうか?
・所得税は、基本的に所得に税率をかけて計算します。所得とは、個人事業主では
売上から経費を引いた金額です。サラリーマンなどの場合は、通勤費や商談時の
接待費などは会社が負担してくれますから給与が所得となります。
・しかし、ここが問題ですね。いくら会社が経費を負担してくれるとは言っても、
食事をしながら部下の相談を受けるなど、自腹で支払うことも多々あります。
・そこでサラリーマンなどには、そういった必要経費を考慮した「給与所得控除」
というものがあるのです。
・仮に年収が500万円であれば、154万円も「給与所得控除」があります。自腹を
切るとは言っても、毎月12万円もあるなら十分ですよね。
・「では逆に、個人事業主が法人成りをして役員給与をもらったら?」という疑問が
出てきます。もちろんそのようなケースなら「給与所得控除」は受けられます。
・それどころか、むしろその方が節税となる場合もありますので、まずはシミュレー
ションをされることをお勧めいたします。その際は、お気軽にご相談ください。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.08.05更新
【追加経済対策で中小企業の交際費枠が拡大されました】
・個人事業では、業務に直接必要なものであれば全額経費になりますが、法人では少し違ってきます。これは、法人と個人事業の大きな違いの1つです。
・税法による交際費とは「会社が得意先や仕入先、その他事業に関係のある人への接待、慰安などの費用」のことをいいます。交際費は外部に対してという意識が強いですが、税法では自社の役員や従業員、株主なども対象となることがあります。
・その交際費ですが、平成20年度までは資本金が1億円以下の法人に対して「年間400万円の90%」が損金(経費)として認められました。しかし、急激に悪化する経済を下支えするため、追加経済対策として、平成21年度からは「年間600万円の90%」に拡充されました。
・つまり、600万円の交際費を使うと、平成20年度の場合は、そのうちの400万円の90%である360万円が損金になるのに対して、平成21年度では600万円の90%である540万円が損金となります。その差は「180万円」。仮に法人税率40%で計算すると、今回の「交際費損金算入枠の拡充」により、72万円の節税ができることになります。
・このような時期ですから、政府の経済対策など漏らさず活用していきたいですね。また、少しでも疑問に思うことなどがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.07.09更新
【相続対策は、"○○"ほど効果があります】
・年収1000万円を超えている世帯は、近年増加傾向にあるようです。その反面、年収200万円以下の労働者も少なからず増加傾向にあり2006年には、なんと1000万人を突破したそうです。
・「一億総中流」。日本国民の大多数が、自分を中流階級だと考えるこの意識も近年では薄れつつあります。格差社会の急激な拡大が、その原因のひとつかもしれません。
・さて、格差社会が拡大すると、さらに特定の人に「富」が集中するようになります。そのため「相続税」では、相続する場合に一部を税金として国に集めて「富」を再分配するという考えがあります。
・その相続税には、「5000万円+法定相続人の数×1000万円」という基礎控除があります。
・例えば、夫婦と子供2人の4人家族で、ご主人が亡くなり法定相続人が奥様と子供2人の計3人となった場合には、基礎控除の額は8000万円となります。
・従って、ご主人が残した財産の合計が8000万円を超えていれば、基本的には相続税が発生することになります。
・また今後、格差社会が今以上に拡大していけば、税制も変わり、この基礎控除額も下がる可能性が十分に考えられます。「相続対策は、"早い"ほど効果があります」ので、できるだけ早めの対策を検討されるようお勧めします。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.06.28更新
【映画『マルサの女』で有名な「マルサ」って?】
・もう20年程前になりますが、宮本信子が演じる女性査察官と脱税者との戦いをコミカルかつシニカルに描いた伊丹十三監督による映画『マルサの女』は、今でもご記憶の方が多いと思います。
・そもそも「マルサ」とは国税局査察部のことを指し、国税査察官は全国で約1300名いると言われています。このマルサが取り扱う事案は「巨額」かつ「悪質」なものに限られます。平成19年度のデータでは220件の査察に着手しており、検察庁に告発したものは158件でした。
・脱税額は平均で2億円弱、有罪判決率はなんと100%でした。脱税の手口として最近増加しているのは、FX取引による利益除外や消費税の科目仮装によるものが多いようです。
・また、売上除外といった昔からの手口も相変わらず多いようです。
・気になるお金の隠し所ですが、手の込んだものでは、鉄道模型の中に第三者名義のトランクルームの鍵や、電気ポットに金の延べ棒を隠していたというケースもあったようです。
・しかし、こんな所に隠したものまで見つけてしまうのですから、海千山千の「マルサ」に目をつけられたら逃れようがありませんね。
・なお脱税で捕まると「懲役」または「罰金」といった刑事罰を受け、その上「精神的苦痛」もひどく「社会的信用」も大きく失墜します。
・やはり「脱税」ではなく、コツコツと続ける「節税」が一番ですね。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.05.27更新
【エコへの取り組みは、税金もお得です!】
・世界各地で発生する異常気象など、いまや世界レベルで環境問題に取り組まなくてはいけない時代となりました。そのため各国では、エコライフに対してメリットのある政策が次々と増えてきました。
・日本では、平成21年4月1日から平成24年4月30日までの3年間は「自動車重量税」と「自動車取得税」について、ハイブリッド車などの「排ガス性能」や「燃費性能」に優れた自動車の取得、継続保有にかかる負担を免除・軽減されるようになりました。
・通常の場合、普通車であれば「自動車重量税」は、0.5トン当たり年間で6,300円が課税されます。
・仮に200万円の新車を購入した場合、それが1.5トンで3年車検の普通車なら56,700円の重量税が必要となります。また、同時に購入価格の5%が「自動車取得税」として課税されますので、さらに10万円の自動車取得税が必要でした。
・しかし平成21年度の税改正で、ハイブリッド車の場合ですとこの2つの税金が免除されることになります。その結果、これを前述の例に当てはめますと、なんと16万円弱の税金が免除となります。
・「そろそろ車の買い替えを・・・」とお考えの方には「エコカーでエコライフ」というのも検討の余地が大いにありそうですね。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.04.21更新
【日本では違法!でもフランスでは!?】
・日本では、第三者の「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を行うことは、有償・無償を問わず税理士以外禁じられています。つまり税理士以外の者が、好意で他人の申告(税務書類の作成)をしてあげたとしても法律違反になってしまうのです。それが、たとえ無償であってもです。
・では、世界の税務業務事情はどのようになっているのでしょうか?
・例えばアメリカやイギリスでは、申告書の作成や税務調査の立会などは、有償・無償を問わず誰でも行うことができます。また、オーストラリアにおいては、無償であれば誰でも行うことができます。そしてちょっと驚きなのは、日本では「税理士法」という法律で規制されている税務業務ですが、フランスやオランダではそれの法規制がありません。
・しかし、同じヨーロッパでも、ドイツでは日本と同じような税理士制度があります。所変わればやり方もいろいろですが、実は日本でも明治時代には無資格者が税務代理を行っていました。
・ところが、納税者が税について知識がないことをいいことに、不当な報酬を要求する悪質な業者が多く現れたため、最終的には現在のような有償・無償に関わらず税務業務は税理士が行うという制度に変わってきたのです。
・「納税義務者の信頼に応える」こと。これは、時代や場所が変わっても税務業務に携わる者の本当の使命ですね。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.03.21更新
【中小企業の法人税率】
・今月で平成20年度も終わり、来月からは新年度のスタートです。役所や学校だけでなく、税の世界においても、4月は新たな法律が施行されたり改正などが多くあります。
・さて、昨年9月からの金融不安や景気後退により、多くの企業が大変苦しい時期にあります。国はこのような状況を踏まえて、21年度から3年間は「景気回復」を最優先課題に置く動きです。
・そこで、特に景気後退などの影響を受けやすい中小企業を支援するために、2つの対策が打ち出されました。1つは「法人税率の軽減」。
・そしてもう1つは「欠損金の繰戻し還付制度の復活」です。
・1つ目の「法人税率の軽減」では、現在、資本金が1億円以下等の中小企業については、年800万円までの利益(所得)に対して、原則30%の法人税率から22%に軽減されています。しかしそれを2年間、この22%の法人税率から更に4%軽減し18%にする予定です。
・また、もう1つの「欠損金の繰戻し還付制度」は、例えば前期に利益が発生して税金を納めたものの、今期が、急激な業績悪化により赤字に転落した場合に、前期に納税した税金を還付してもらえるという制度です。
・いずれも中小企業にとっては、非常にありがたい制度ですので、予定通り法案が成立し4月からスタートすることを願いたいですね。
投稿者: 伯税務会計事務所
2009.02.06更新
【自宅からでも確定申告ができる「e-TAX」】
・医療費控除など還付だけのために申告をする場合は、確定申告時期を待たずに年明けから還付申告をすることができます。でも、ほとんどの方は確定申告期間に申告をされますね。
・さて、近年「e-TAX」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。
・この「e-TAX」は、正式名称を「国税電子申告・納税システム」といい、インターネットを利用して申告するシステムです。
・つまり確定申告時期のあの混雑した相談会場に行かなくても、自宅やオフィス、税理士事務所などから申告することができるとっても便利なシステムなのです。
・この「e-TAX」ですが、所得税の確定申告をおこなうと最高5,000円の控除を受けることができます。また、添付書類の提出を省略することもできます。
・そして、還付申告の処理が3週間程度(通常は6週間)で処理されるので、早く税金が還付されるというメリットもあります。
・ただし「e-TAX」を利用する場合には、準備しなければいけないものがあります。それはインターネット環境もですが、電子証明書(住基カード)と、その証明書を読み込む機械(ICカードリーダライタ)が必要となります。
・導入時に少々手間が掛かりますが、相談会場の混雑や行き来の時間などを考えると、慣れてしまえば価値があるかもしれませんね。
投稿者: 伯税務会計事務所