2017.09.01更新

 研究開発投資を増やして企業競争力を高めることなどを目的に、研究開発税制が見直しされました。

 改正前は「総額型」「増加型」「高水準型」「オープンイノベーション型」の4つに分かれていましたが、その中の「増加型」と「高水準型」は平成28年度末までの時限措置でした。

 改正後は「増加型」が「総額型」に組み込まれ、「高水準型」は適用期限が2年間延長され、「総額型」「高水準型」「オープンイノベーション型」の3つになりました。

 「総額型」の税額控除率は、試験研究費の増減に応じて6~14%(中小法人は12~17%)に拡充されました。

 控除限度額も一定の要件を満たした場合、従来の法人税額の25%に0~10%の上乗せが可能になりましたが、高水準型との選択制となります。

 ただしどちらの上乗せも2年間の時限措置となります(税額控除率については一定率以上)。

 また「オープンイノベーション型」は手続きの見直しにより使い勝手の向上が図られています。

 近年では、IoTやビッグデータ、人工知能などを活用した「第4次産業革命」が進展しています。

 これらの技術を活用する新たなビジネス開発を後押しするために、これまでの製造業による「モノ作りの研究開発」に加えて、ビッグデータなどを活用した第4次産業革命型の「サービスの開発」が試験研究費の定義に追加されました。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.08.01更新

 税務調査はさまざまありますが、おおよそ「課税処分のための調査」「滞納処分のための調査」「犯則事件のための調査」の3つに分類できます。

 「課税処分のための調査」とは、課税処分をするための資料を収集することを目的とした調査です。

 納税者の申告内容が正しいかどうかを判断するために、帳簿や請求書などの書類をチェックします。

 これは国税通則法に規定されている質問検査権に基づく調査になります。

 「滞納処分のための調査」とは、滞納になっている税金がある場合、滞納処分手続きをするにあたり滞納者の財産の有無・所在・種類・数量・価額・利用状況・第三者の権利の有無などを明らかにする調査です。

 これは国税徴収法による調査となります。

 「犯則事件のための調査」は、査察調査のことを指します。

 不正の手段を使い故意に税を免れた場合には、正当な税を課すほかに刑罰を科すことが税法に定められています。

 この調査は、裁判官の許可を得ているので任意調査ではなく強制捜査になり、実質的には刑事手続きと同じように進められます。

 国税庁の発表によると法人税の実地調査件数は、平成24事務年度9.3万件、平成25事務年度9.1万件、平成26事務年度9.5万件となっています。

 日本の法人数が約260万社ですから、実地調査は3.5%前後の割合で行われていることになります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.07.01更新

 個人が上場株式などを保有・譲渡した場合のお話です。

 株式などを保有して配当金が、または譲渡をして譲渡益があった場合などには 税金がかかります。

 株式取引をする口座には「一般口座」や「特定口座」などがあり、一般口座は自分で年間の譲渡損益を計算して確定申告を行います。

 特定口座には「源泉徴収口座」と「簡易申告口座」があり、源泉徴収口座では金融商品取引業者等(証券会社など)が年間の譲渡損益等を計算して源泉徴収するため原則、確定申告は不要になります。

 源泉徴収税率は、所得税・復興特別所得税15.315%に住民税5%の合計20.315%となります。

 簡易申告口座は、金融商品取引業者等が年間の譲渡損益を計算してくれますが、確定申告は自分で行います。

 譲渡した株に損失が生じた場合は確定申告をすることにより、3年間損失を繰り越せて翌年以降の譲渡益と損益通算することが可能です。

 平成26年よりNISA(少額投資非課税制度)がスタートしており、現在では年間120万円(最大非課税投資総額120万円×5年間)を上限として非課税投資枠が設定されています。

 この非課税口座(NISA口座)を利用すると、上場株式などの配当金や譲渡益が非課税になります。

 なお、平成28年4月からは20歳未満を対象としたジュニアNISA制度(年間上限額80万円)もスタートしています。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.06.01更新

 平成30年分から「配偶者控除」と「配偶者特別控除」が改正されます。

 現状では配偶者の給与収入が103万円以下であれば、38万円の所得控除が受けられます。

 また103万円を超えた場合でも要件を満たせば、141万円未満まで所得に応じた配偶者特別控除が受けられます。

 改正後のプラス面は、配偶者控除が適用される配偶者の給与収入が103万円以下から150万円以下になることでしょう。

 これにより、いわゆる「103万円の壁」が遠のきます。

 控除を受けるために働く時間を抑制していた人は、これまでよりもっと多く働くことができるようになります。

 また配偶者特別控除の上限についても、配偶者の給与収入の141万円未満が201万円以下になります。

 特別控除額は150万円を超えると徐々に減額され、201万円を超えるとゼロになります。

 マイナス面は、納税者本人の合計所得が1000万円を超えると配偶者控除がゼロとなり増税になる点でしょう。

 また合計所得が900万円超950万円までは26万円に、950万円超1000万円までは13万円に減額されます。

 現状では、多くの企業で配偶者手当の支給基準が103万円であることや、社会保険の被扶養者基準が130万円であることも、働き方を決めるうえで考慮する必要がありそうです。

 ちなみに、配偶者に給与以外の収入がある場合は、それらを合算して判断するため注意が必要です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.05.01更新

 2017年1月より始まったセルフメディケーション税制は、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進することを目的としています。その結果、国の財政を圧迫している医療費の適正化にもつなげたい考えです。

 この制度利用にあたっては、健康の維持増進および疾病の予防として、健康診断や予防接種、がん検診を受けていることなどの条件があります。

 セルフメディケーション税制は、本人または生計を同じくする家族が購入したスイッチOTC医薬品の額が1年間で12000円を超えると、その超えた額(上限額88000円)をその年分の総所得金額等から控除することができます。

 一方、従来からある医療費控除は、本人または生計を同じくする家族が対象で、自己負担した医療費等が1年間で10万円を超えると、その超えた額を控除することができます。

 ただし、セルフメディケーション税制と従来からある医療費控除制度の併用はできないため選択が必要になります。

 なお、スイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品のことをいい、処方箋なしで買える市販薬です。

 2017年分の確定申告からは、自己負担した医療費等が10万円を超えていないかだけでなく、スイッチOTC医薬品の購入額が12000円を超えていないかについても確認してみましょう。 

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.04.01更新

 平成25年度の税制改正により、平成27年以後に亡くなられた人から相続税の基礎控除額が引き下げられました。

 これにより相続税の課税対象となった被相続人の割合が、前年の平成26年分に比べて3.6%増加したということが国税庁の平成28年12月の発表で分かりました。

 発表によると平成27年中(平成27年1月1日~平成27年12月31日)に亡くなられた人は全国で約129万人(平成26年は約127.3万人)でした。

 このうち相続税の課税対象となった被相続人は約10.3万人(平成26年は約5.6万人)で、課税割合は8%(平成26年は4.4%)と前年に比べて2倍近くも増加しました。

 近年の相続税の課税割合は4%程度を推移していましたので、今回の基礎控除額の引き下げによって大幅に増えたことが分かります。

 相続税の課税価格の合計は約14.6兆円で、被相続人1人当たりにすると約1.4億円となっています。

 またこれによる相続税の納税額は約1.8兆円で、1人当たりでは1758万円になります。

 相続財産の金額の構成比は土地が1番多く38%で、その他は現金・預金等が30.7%、有価証券14.9%、家屋5.3%、その他11.0%となっています。

 平成25年度の税制改正によって課税の対象となる人が増えた現在では、「相続税は一部の富裕層だけのもの」という考えは見直す必要がありそうです。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.03.01更新

 自宅のリフォーム工事を考えているという方から、三世代同居に対応した住宅リフォームの特例についてご相談がありました。

 これは、世代間の助け合いによって子育てしやすい環境を作ることが目的で、三世代同居に対応したリフォーム工事を行う場合に税制上の特例措置を受けることができるという制度です。

 適用期限は平成28年4月1日から平成31年6月30日までで、キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設工事で50万円を超えるなど一定の要件を満たすと所得税額控除を受けることができます。

 工事資金が借り入れでも、借り入れでなくても適用されます。

 具体的には借り入れで工事を行った場合には、工事目的の借入金等の種類の年末残高に応じて、1000万円以下の部分について一定の割合(三世代対応部分は借入残高250万円が限度で2%、それ以外の部分は借入残高750万円が限度で1%)を乗じた金額が所得税額から控除されます。

 適用期間は5年間で最大62.5万円の控除が受けられます。

 借り入れ無しで工事を行った場合には、標準的な工事費用(250万円が限度)の10%である25万円を限度として、改修を行った年の所得税額から控除することができます。

 ただし、その年分の合計所得金額が3000万円を超える場合や、他の住宅ローン控除と重複しての適用はできませんのでご注意ください。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.02.01更新

 あるデータによるとプロゴルファーがホールインワンを出す確率は約3700回に1回だとか。

 ですからアマチュアゴルファーにとってホールインワンは、夢のような話です。

 多くのゴルファー保険では、こうしたホールインワンやアルバトロスを達成した場合に行う祝賀会などにおいて、契約者が負担した費用が保険金の支払い対象になっています。

 またゴルフ場やゴルフ練習場などにおいて、競技や練習中などに偶然の事故によって他人にけがをさせたり、他人の財物を損壊した場合、さらに自分自身がけがをしたときやゴルフ用品の盗難、ゴルフクラブの破損などにおいても保険金の支払い対象になります。

 では、保険金を受け取った際の税金の取り扱いはどうなるのでしょうか。

 ゴルフ場で競技中に他人にけがをさせてしまい、その損害賠償に充てるために契約者が受け取った保険金やゴルフ用品の盗難、ゴルフクラブの破損などに対して支払われる保険金については課税されません。

 ただし、ホールインワンなどを達成したことにより受け取る保険金については、一時所得となり課税の対象になります。

 この場合、受け取った保険金から支払った保険料は経費として控除できますが、祝賀会などの費用は控除できません。

 もちろん個人事業主が支払ったゴルファー保険の保険料は必要経費とはなりません。

 あるデータによるとプロゴルファーがホールインワンを出す確率は約3700回に1回だとか。

 ですからアマチュアゴルファーにとってホールインワンは、夢のような話です。

 多くのゴルファー保険では、こうしたホールインワンやアルバトロスを達成した場合に行う祝賀会などにおいて、契約者が負担した費用が保険金の支払い対象になっています。

 またゴルフ場やゴルフ練習場などにおいて、競技や練習中などに偶然の事故によって他人にけがをさせたり、他人の財物を損壊した場合、さらに自分自身がけがをしたときやゴルフ用品の盗難、ゴルフクラブの破損などにおいても保険金の支払い対象になります。

 では、保険金を受け取った際の税金の取り扱いはどうなるのでしょうか。

 ゴルフ場で競技中に他人にけがをさせてしまい、その損害賠償に充てるために契約者が受け取った保険金やゴルフ用品の盗難、ゴルフクラブの破損などに対して支払われる保険金については課税されません。

 ただし、ホールインワンなどを達成したことにより受け取る保険金については、一時所得となり課税の対象になります。

 この場合、受け取った保険金から支払った保険料は経費として控除できますが、祝賀会などの費用は控除できません。

 もちろん個人事業主が支払ったゴルファー保険の保険料は必要経費とはなりません。

投稿者: 伯税務会計事務所

2017.01.02更新

 災害や盗難、横領により資産に損害を受けた場合などに、その損失の一部を所得から差し引くことができる制度があります。

 これを「雑損控除」といいます。

 控除の対象となる損害は「震災・風水害・冷害・雪害・落雷など自然現象の異変による災害」「火災・火薬類の爆発など人為による異常な災害」「害虫などの生物による異常な災害」「盗難」「横領」のいずれかの場合に限られ、詐欺や恐喝の場合は対象になりません。

 控除額については「差引損失額-総所得金額等×10%」「差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円」のいずれか多い方の金額を控除することができます。

 計算式にある「災害関連支出の金額」とは、災害により被害を受けた住宅や家財などの取り壊しや除去のために支出した金額などになります。

 なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後に繰り越して各年の所得金額から控除することができます。ただし、繰り越しは3年間が限度となります。

 また「雑損控除」とは別に「災害減免法による所得税の軽減免除」という制度があり、どちらか有利な方法を選ぶこともできます。

 この制度は、災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下の場合に適用され、その年の所得税が所得金額の合計額に応じて軽減もしくは免除されます。

投稿者: 伯税務会計事務所

2016.12.01更新

 近年は経済のグローバル化が進み、海外支店に転勤する人なども増えてきました。

 日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに転勤する場合は、一般的には「日本国内に住所を有しない者」と判断されて所得税法上の「非居住者」となります。

 この非居住者が日本国内において、不動産賃貸収入や資産の譲渡による所得など、一定の所得がある場合には日本で確定申告が必要となります。

 このような場合にその非居住者に代わって、申告書や届出書の提出、税務署から届く書類や国税の納付・還付などの受領を行う人を「納税管理人」といいます。

 納税管理人になれるのは、国内に住所または居所を有する人で、個人でも法人でも構いませんし資格なども不要です。

 ですから一般的には家族や親族、または税理士や弁護士などの専門家に依頼することが多いようです。

 ただし、資格がない家族や親族が納税管理人になった場合には、税理士法に定められた税理士独占業務以外の代行業務しか行うことができないので注意が必要です。

 税理士独占業務には「税務申告書の作成」や「届出書の作成」などがあります。

 最後に非居住者である本人が納税義務を履行しない場合についてですが、納税義務は本人にあるため納税管理人が財産を差し押さえられるなど、連帯納付義務を負うことはありません。

投稿者: 伯税務会計事務所

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