2014.08.01更新

 飛鳥時代の701年に完成した大宝律令では、「耕地の広さに応じて稲を納める税」や「その土地の特産物を納める税」など、租・庸・調という税の仕組みができました。

 室町時代は米などの年貢が税の中心でした。また、街道に設けられた関所では、通行税の関銭などが税として課せられました。

 安土桃山時代は豊臣秀吉が太閤検地を行い、農地の面積だけでなく収穫高なども調べて年貢を納めさせるようにしました。

 江戸時代には、当時の営業税や営業免許税にあたる運上金・冥加金を、商工業者などに課税するようになりました。

 明治時代になると政府は、歳入の安定を図るために地租改正を実施します。地券を発行して土地の所有者を確定し納税義務を課しました。そして、課税の基準を従来の収穫量から地価に改め、地租として貨幣で納めるようにしました。また、所得税や法人税が導入されたのもこの頃です。

 現在ある税の仕組みができはじめたのは大正時代から昭和初期にかけてで、1940年(昭和15年)には源泉徴収制度が採用されました。

 1989年(平成元年)には消費税が導入されます。当初の税率は3%でしたが1997年には5%に、そして2014年の今年に8%となりました。

 このように税の制度は、社会の変化にともない変わってきました。そして、これからもまた変わっていくことでしょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2014.07.01更新

「先日、住宅ローン控除が4月から増えたということを知りました。

 そこで、どのように変わったのか教えてください」というご質問がありました。ご質問の住宅ローン減税制度は、住宅ローンを借入れて新築または増改築をした場合などに、一定の要件を満たせば所得税や住民税の控除の適用を受けることができる制度です。

 具体的には、毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が、10年間に渡って最大控除額を限度に控除されます。今回はその「最大控除額」が増えました。

 
 一般住宅の場合は、平成26年3月までの最大控除額は200万円(年間20万円×10年)でしたが、平成26年4月から平成29年末までの最大控除額は400万円(年間40万円×10年)に増えました。

 また、長期優良住宅と低炭素住宅については、最大控除額300万円(年間30万円×10年)から500万円(年間50万円×10年)に増えました。

 さらに、所得税から控除しきれなかった場合には住民税から一部控除ができますが、その控除上限額も年間9.75万円から年間13.65万円に引き上げられました。

 なお、経過措置により5%の消費税率が適用される場合や、消費税の課税対象とならない中古住宅の個人間売買などは、平成26年4月以降であっても平成26年3月までの措置が適用されます。

投稿者: 伯税務会計事務所

2014.06.01更新

特定中小企業者が経営改善設備を取得した場合に、その取得価格の30%を特別償却することができる特別償却制度というものがあります。

これは、青色申告書を提出する中小企業者等が、認定経営革新等支援機関による経営改善に関する指導および助言を受けて、平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に設備を実際に取得し、営む商業、サービス業等の事業のために使用する場合に適用される制度です。

「商業、サービス業」には、卸売業、小売業、情報通信業、損害保険代理業、不動産取引業、自動車整備業、農業など、その他にも多くの事業が該当します。

また「中小企業者等」とは、常時使用する従業員が1000人以下の個人事業者、資本金の額が1億円以下の法人(資本金1億円超の大規模法人の子会社を除く)、中小企業等協同組合などになります。

そして認定経営革新等支援機関には、認定を受けた税理士や金融機関、商工会議所などがあります。

なお、個人事業者または資本金3000万円以下の法人においては、「取得価格の30%の特別償却」か「取得価格の7%の税額控除」のいずれかを選択することができます。

ただし税額控除の場合は、「取得価格の7%」または「事業所得に係る所得税額または法人税額の20%」のいずれか低い額になり、税額控除限度の超過額は1年間繰越すことができます。

投稿者: 伯税務会計事務所

2014.05.01更新

 相続税の目的には「富の再分配」や「格差の固定化防止」があります。

 しかし、バブル崩壊後、地価は下落しましたが相続税の基礎控除は逆に拡充されました。そのようなことも要因のひとつとなり、相続税の課税件数の割合は昭和62年の7.9%から平成23年には4.1%にまで低下しました。

 今回は「相続税」を強化する一方で、補完役である「贈与税」は緩和となります。

 生前贈与を一層促進させることが贈与税改正の目的のようです。
高齢者の保有資産を若い世代へ早期に移転させて経済の活性化にもつなげたい考えでしょう。

 今回の相続税改正の注目ポイントは、定額控除が5000万円から3000万円に、法定相続人数比例控除が法定相続人1人につき1000万円から600万円になることです。

 このため一般的なケースで、さらに法定相続人を仮に配偶者と子2人の計3人とした場合、従来なら相続財産が8000万円を超える場合であったものが、改正後は4800万円を超える場合から相続税がかかることになります。

 これまでは相続財産が8000万円であればゼロであった相続税が、改正後は350万円必要ということになります。このようなことから今後は、緩和された贈与税をより上手く活用して相続対策を考えていきたいところです。

 相続税は早い時期から計画的に対策することが大切です。

 まずは一度ご相談ください。

投稿者: 伯税務会計事務所

2014.04.01更新

地震で住宅が倒壊すれば居住者に危険がおよびます。

さらに、倒壊した建物は近隣住民の避難の妨げにもなり、被害を拡大させる危険性があります。

そこで、「災害に強いまちづくり」を推進するために、一定の条件を満たした耐震改修には「所得税」と「固定資産税」の減額措置が設けられています。

まず所得税の減税措置についてですが、標準的な工事費用相当額の10%(最高25万円)を所得税額から控除することができます。

ただし、補助金などの交付を受ける場合には、その額を差し引いた金額となります。

主な要件は、昭和56年5月31日以前に着工されたもので、現在の耐震基準に適合しない住宅であること。また、居住する住宅を個人が平成29年12月31日までに耐震改修した場合などになります。

次に固定資産税の減額措置についてですが、改修工事が完了した年の翌年度から1年間に限り、120平米相当部分までの固定資産税が2分の1に減額されます。なお、120平米を超える部分は減額されません。

主な要件は、昭和57年1月1日以前から所在していた住宅を、平成27年12月31日までに現行の耐震基準に適合するよう耐震改修すること。また、耐震改修の費用が50万円を超えていることなどになります。

なお、これらの税制優遇を受けるためには、必要書類をそろえて申告する必要があります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2014.03.01更新

NISA(ニーサ)とは、2014年1月から導入された「少額投資非課税制度」のことで、上場株式や公募株式投資信託などの配当や譲渡益の一定額を非課税にするという制度です。

具体的には、毎年100万円までの新規購入分を対象に、その配当や譲渡益が最長5年間非課税になります。

この制度が利用できるのは20歳以上の日本国内居住者で、1人につき1口座しか開設することができません。例えばA銀行に口座を開設した場合は、異なる金融機関であってもB証券には開設できません。

口座開設可能期間は2014年から2023年までの10年間になります。なお、現在のところ一度、口座を開設すると最長4年間は別の金融機関への変更や開設をすることはできません。

金融機関によって扱う金融商品や手数料が違うため、口座を開設する金融機関を決める際には十分に検討したいですね。

また、上場株式などを売却して発生した譲渡損失については、他の特定口座や一般口座での譲渡益と損益通算することや繰越控除することはできません。

なお、今回の内容は2014年1月現在のものとなります。NISAは「専用口座を開設する金融機関を毎年変更」「口座を開く手続きの簡素化」など、使いやすくするための検討が現在も関係省庁で進められているので、今後も詳細が変更されていく可能性があります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2014.02.01更新

我が国に所得税が導入されたのは明治20年で、課税対象は個人所得だけでした。

書籍『日本財政論』によると、高額納税者の多くは旧大名や公家などの華族で、上位には旧山口藩主の毛利元徳や旧金沢藩主の前田利嗣、旧熊本藩主の細川護久などの名前がみられます。

そのような中、申告額で第1位となったのは、三菱財閥の基礎を築いた岩崎弥太郎の長男、岩崎久弥で申告額は約70万円でした。第2位は岩崎弥之助(岩崎弥太郎の弟)で約25万円、第3位が毛利元徳の17万円台。

日本資本主義の父といわれた渋沢栄一が10万円弱の申告額ですから、第1位の申告額がいかに多いかが分かります。そうなると当時の70万円がどれくらい価値があったのかを知りたいところですが、世の中の仕組みや人々の暮らしが異なるため正確に換算することはなかなか難しいものがあります。

また、物価や賃金水準も年々変化しているので同じ明治時代でも前半と後半では違いがあります。

そのためあくまでも参考としてのお話です。明治30年頃の小学校の教員や警察官の初任給は月8~9円くらい、一人前の大工などベテラン技術者で月20円くらいだったようです。

このようなことから考えると当時の庶民にとっての1円は、現在の2万円くらいの重みがあったのかもしれません。仮にこれで計算すると当時の70万円は現在の140億円になります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2014.01.01更新

住宅会社の経営者から、「支店を出そうと考えているのですが、その場合、均等割はどこに納付するのでしょうか?」というご質問をいただきました。

今回は本店がA県B市にあり、支店を同じA県のC市に出すケースになります。
まず、法人は法人住民税を納める必要があります。法人住民税とは今回の場合、県民税や市民税となります。

この法人住民税には、利益に関係なく会社の資本金や従業員数に応じて税額が決まる「均等割」と、法人税の額に税率を掛けて計算する「法人税割」というものがあります。

今回の均等割は、本店と支店は同じ県内ですから、A県にのみ県民税の均等割を納めることになります。また、資本金や従業員数に変わりがなければ、納付額が増えることはありません。

しかし、市税の均等割は市町村がB市とC市で異なるため、本店のあるB市と新たに出店するC市のそれぞれに納める必要があります。

仮に県も異なるところに支店を出した場合には、新たに出店する県と市の両方に均等割が発生します。

次に法人税額に応じて負担する「法人税割」についてですが、こちらは本店と支店に分割して納めることになります。

分割の基準は、主に事務所数や従業員数となります。

なお、東京都23区内については、都の特例として都民税と区民税の2つをあわせて都民税とし納めることになります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2013.12.01更新

「金銭または有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満の場合は現在、非課税とされています。
それが平成26年4月1日からは、受取金額が5万円未満のものは非課税となります。

「金銭または有価証券の受取書」とは、金銭または有価証券を受領した者がその受領事実を証明するために作成し、相手方に交付する証拠証書をいいます。

例えば、「領収書」「受取書」「レシート」などがこれに該当します。また、金銭や有価証券の受領事実を証明するために、請求書や納品書などに「代済」「相済」「了」などと記入したものも該当します。

飲食店などのように、3万円を少しだけ超える場合がしばしばあるところでは、非課税範囲が5万円未満に拡大されることは特に朗報でしょう。

またこの他には「不動産の譲渡に関する契約書」や「建設業法で規定された建設工事の請負に関する契約書」においても印紙税額が軽減されます。

こちらの軽減措置は、平成26年4月1日から平成30年3月31日までの期間が対象となります。

なお、平成25年度の国の歳入予算を見ると、印紙による税収は約1.1兆円です。所得税や法人税などの主要税目に比べると少ないですが、たばこ税の1兆円弱や酒税の1.3兆円強と肩を並べます。

このように比べてみると、印紙税もけっこうな税収があることが分かります。

投稿者: 伯税務会計事務所

2013.11.01更新

「NPO法人を立ち上げて、スポーツや芸術などを通じ地域の街づくりに貢献したいと考えています。そのNPO法人についてですが、非営利なので税金がかからないという話や、そうではないという話などいろいろと耳にします。

そこで、NPO法人の税金について教えていただけないでしょうか」というご質問がありました。

「NPO」とは、様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体のことをいいます。 そのため収益を目的とする事業を行うこと自体は認められますが、事業で得た収益は様々な社会貢献活動に充てることになります。

そしてこのNPOのうち、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人を、NPO法人(特定非営利活動法人)といいます。 NPO法人に対しての税金ですが、株式会社や有限会社などの営利法人に適用される税制よりは優遇されている部分もあります。

しかし、税金がかからないわけではありません。例えば法人税ですが、物品販売業・不動産販売業・金銭貸付業など、法人税法に定められた34種類の収益事業から得た所得は法人税の対象となります。

ただし、収益事業への対価としてではない寄付金や補助金を受けた場合は、課税対象とはなりません。その他にもNPO法人特有の取り扱いがありますので注意が必要です。

投稿者: 伯税務会計事務所

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