2014.02.01更新

我が国に所得税が導入されたのは明治20年で、課税対象は個人所得だけでした。

書籍『日本財政論』によると、高額納税者の多くは旧大名や公家などの華族で、上位には旧山口藩主の毛利元徳や旧金沢藩主の前田利嗣、旧熊本藩主の細川護久などの名前がみられます。

そのような中、申告額で第1位となったのは、三菱財閥の基礎を築いた岩崎弥太郎の長男、岩崎久弥で申告額は約70万円でした。第2位は岩崎弥之助(岩崎弥太郎の弟)で約25万円、第3位が毛利元徳の17万円台。

日本資本主義の父といわれた渋沢栄一が10万円弱の申告額ですから、第1位の申告額がいかに多いかが分かります。そうなると当時の70万円がどれくらい価値があったのかを知りたいところですが、世の中の仕組みや人々の暮らしが異なるため正確に換算することはなかなか難しいものがあります。

また、物価や賃金水準も年々変化しているので同じ明治時代でも前半と後半では違いがあります。

そのためあくまでも参考としてのお話です。明治30年頃の小学校の教員や警察官の初任給は月8~9円くらい、一人前の大工などベテラン技術者で月20円くらいだったようです。

このようなことから考えると当時の庶民にとっての1円は、現在の2万円くらいの重みがあったのかもしれません。仮にこれで計算すると当時の70万円は現在の140億円になります。

投稿者: 伯税務会計事務所

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