2022.09.15更新

 面白い実験をご紹介しましょう。

 AとBのグループを作り、グループAにはまず「足りないもの、手に入れたいもの」を書き出してもらい、次に「自分がすでに手に入れて恵まれていると思うもの」を書き出してもらいました。

 グループBには先ほどと逆に、まず「恵まれていると思うもの」を、次に「足りないもの」を書き出してもらいました。

 実験の結果、どちらのグループも「先に書き出した項目」の数のほうが多かったそうです。

 つまり、物事の捉え方は意識の向け方で変わるというわけです。「恵まれている」と思えば恵まれているものを探し「足りない」と思えば足りないところを探す。これは人間の脳の特性でもあります。

 自分の力量に応じた言動をしたり、望みを持ったりする例えとして「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」ということわざがあります。

 実業家の稲盛和夫さんは、この言葉を引用して「業績はリーダーの器の大きさ、つまり“器量”の分にしかなりません」と言っています。

 さらに「器量」について「人生観、人間性、哲学、考え方。あるいは人格という言葉に置き換えてもいいでしょう」と表現し「業績を立派にしていこうとするなら、リーダーが人間性を高め、人格を磨いていく以外に方法はありません」と述べています。

 大層な話に聞こえますが、例えば「足りない」と思うより「恵まれている」と思って商売してごらんなさい、という教えではないでしょうか。

 「足りない」ところに意識を向けがちな経営者は「できていない」「やっていない」「もっと頑張れ」とよく口にします。

 従業員の士気を高めるためだとしても、毎日「足りない足りない」と言われ続ける従業員の身になれば気の毒な話です。

 片や「恵まれている」と思うものに意識を向けている経営者が、日頃からどんな言葉を使っているか、皆さんならお分かりでしょう。

 稲盛さんの著書『心を高める、経営を伸ばす』の副題は「素晴らしい人生をおくるために」です。

 色々な人が色々なことを言いますが、結局は人格を高めることが商売を伸ばし、素晴らしい人生をおくれるという、ごく当たり前でシンプルなお話でした。

投稿者: 伯税務会計事務所

entryの検索

月別ブログ記事一覧

カテゴリ