2016.02.15更新

 先日、こんな話を耳にしました。

 主人公はあるタクシーの運転手。

 バドミントンと掃除とバイクが好きだという五十代の男性のAさんです。

 Aさんの休日は掃除から始まります。

 午前中いっぱいかけて家の中を徹底的に磨き上げるそうですが、特にトイレ掃除は気合いが入るとか。

 設備会社で働いていた経験をいかし、便座は外して風呂場で水洗い。

 極めつけは便器の縁に小さな鏡を当て、見えないところの小さな汚れまでひとつ残らずきれいにするそうです。

 「トイレをピカピカにすると運が良くなると言いますけど、どうですか?」と尋ねられると、「トイレ掃除をした次の日はたしかにお客様が多いですね」とのこと。

 他の運転手が2時間以上も粘ったのに撃沈したタクシー乗り場にAさんが入れ替わりで行くと、5分もしないうちにお客様が乗り込んできて、しかもかなりの遠距離へ。

 そんなことが珍しくないそうです。

 掃除が終わったら午後はバドミントンの時間。

 Aさんは30年のキャリアと実力の持ち主で、仲間と一緒に夜遅くまで汗を流します。

 「休みの日に朝から丁寧に掃除して、みんなでバドミントンして、たまにバイクにも乗って、これが私の最高の楽しみなんですよ。人生は一度だけだから一日一日を大切に過ごさないとね」。

 Aさんは、小さい頃に祖母から言われた「一日一善」を今でも心掛けているそうです。

 「良いことをすると良いことがあるんだよ。神様は見ているんだねぇ。不誠実なことはできないよ」。

 考え方が人生をつくっていくと言ったのは京セラ創業者の稲盛和夫氏です。

 人生や仕事の結果は「考え方×熱意×能力」だから、どんなに熱意や能力が高くても考え方がマイナスだと結果はマイナスになってしまうというわけです。

 経営者として自分の熱意や能力を存分にいかせる考え方をしているだろうか。

 お客様に喜んでいただけるよう誠実に良い仕事を追いかけているだろか。

 Aさんのことを思い出しながら、ふと自問自答する今日この頃です。

投稿者: 伯税務会計事務所

2016.01.15更新

 お正月の風景もずいぶん様変わりしました。

 例えば福袋。

 かつては「お楽しみ」だった中身があらかじめ公開され、今は「お得感」や「実用性」に重きが置かれているものも多いです。

 「福」の意味や価値も時代や世相を反映して変わってきたのでしょう。

 しかし、「今年こそ!」と新年に誓いを立てたり、新しいことを始めたりするのは人の習いとして今も昔も変わりません。

 時間の区切り方は色々でも、希望や期待を思わせる「新年」は事始めにもっともふさわしい区切りではないでしょうか。

 大正から昭和にかけて活躍した作家の吉屋信子さんは、新年の思いを暦に託して「初暦 知らぬ月日の 美しく」と詠みました。

 まっさらなノート、まっさらなシャツ、色々な「まっさら」がありますが、まだめくられていない初暦ほど「まっさら」という言葉が似合うものはないでしょう。

 まっさらな暦には、まっさらな日々が眠っています。

 まっさらな日々には、まっさらな時間が詰まっています。

 今日から先は未知の世界であり、そこには個々の未来が静かに横たわっているのです。

 商売をしていればままならないことの連続ですが、暦を一枚めくればその日は「過去」になり、その下には希望や期待で輝きながら目覚めのときを待つ「まっさらな未来」がほほ笑んでいるのです。

 商売は長丁場。

 行き当たりばったりで続けていけるものではありません。

 経営には長期的な展望や戦略が必要だとされますし、実際にその通りでしょう。

 しかしながらこれだけ時代のサイクルが速くなると、どれだけ長期的な目標を明確にしても10年後の社会情勢や環境がどうなっているかは誰も知る由はありません。

 今のような時代には、少し先を見ながら「今年こそ!」を「今日こそ!」に替えて、暦を一枚ずつめくっていく感覚が似合っているように思えてなりません。

 初暦は未知の宝庫のようなものです。

 商売の成功や人生の充実というものは、「今日こそ!」の積み重ねの先にあるのかもしれませんね。

投稿者: 伯税務会計事務所

2015.12.15更新

 「除」には「古いものを捨てて新しいものに移る」という意味があります。

 ですから、古い年から新しい年に移る大晦日の「夜」を「除夜」というようです。

 除夜には、暮れゆく年を惜しみつつ一年を締めくくる様々な行事が行われます。

 108回突かれる除夜の鐘もそのひとつです。

 ところで「108」という数は一般的に「煩悩の数」とされています。

 そもそも煩悩とは自分を悩ませるものや心を乱すもののこと。

 仏教の根本的な考え方でいうと人の煩悩は大きく3つあり、まとめて「三毒」と呼ばれるそうです。

 1つ目は「貪(とん)」、必要以上に欲しがること。2つ目は「瞋(じん)」、自分の心に執着して思い通りにならないと怒ること。3つ目は「痴(ち)」、無知で愚かな考え方にとらわれること。

 要するに「欲」と「怒り」と「愚かさ」が私たち人間を悩ませ、心を乱すのでしょう。欲の対象はモノに限りません。

 「もっと○○だったら」と人をらやむことも欲の一種です。

 もとより思い通りにならないのが世の中なのに、自分の考え方に執着していると、いつもイライラしなら暮らすことになりかねません。

 そうやって自分で煩悩を生み出してしまうのが人間の愚かさなのでしょうか。

 ある資産家がしみじみ話していたそうです。

 それは「人間、どうしたって不安は消えない」ということです。

 お金がないのは不安だけれど、あればあったで今度は「このお金が減ったらどうしよう」と不安になるし、経済的に満たされても健康や人間関係の不安はつきまとう。

 商売で成功し、お金持ちになってはじめて「いくらお金があっても不安は消えないことが実感できた」というその人は、改めて「幸せって何だろう」と考えてみたそうです。

 その答えはあっけないほどシンプルでした。

 いわく、「今この瞬間を幸せだと思えることが幸せである」と。

 煩悩は十人十色でも、人生は「今」の積み重ねであることに変わりはありません。

 つまり商売の成功も「今」の積み重ねだということでしょう。今年も残りわずかです。

 「今」を悔のないように、商売に励みたいものですね。

投稿者: 伯税務会計事務所

2015.11.15更新

 「朝は常に早く起きるように心掛けねばならない。遅く起きるならば、下の者までが気持ちを緩めてしまって、公務の大切な用事にも事欠くようになる。その結果は必ず主君からも見離されてしまうものと思って、深く慎まなくてはならない」。(『早雲寺殿二十一箇条』より)

 これは、室町時代の武将・北条早雲の家訓の一節です。

 近年は朝の時間を有効活用する「朝活」が注目され、早起きをして仕事の前にひと仕事する人たちが増えています。

 時代は変わっても「早起き」という心掛けの重要性は変わらないのでしょう。

 「忙しい」を連発する人に限って時間の使い方がうまくないのは皮肉なものです。

 時間を制する者はビジネスを制する。

 その証拠に世界のCEOの多くが早起きです。

 例えば、スターバックスのハワード・シュルツ氏が毎朝4時半に起きる理由は、「21世紀の歴史は朝に作られる」という発想からで、ディズニーのロバート・アイガー氏も4時半に起きて新聞やメールのチェック、運動、テレビを見るなどして過ごすそうです。

 アップルのティム・クック氏は、4時半にはすでに部下へ指示のメールを送っているとか。

 日本ではCoCo壱番屋で知られる壱番屋の創業者特別顧問・宗次徳二氏が有名です。

 もともとはお客様のアンケートハガキを読むために早起きを迫られたそうですが、いまや「人生の成功は早起きに始まる」が座右の銘になるほどの早起きに。

 毎朝4時前に起き、90分ほどかけて名古屋市の広小路通りを清掃するそうです。

 早起き経営者に共通しているのは、起床後の行動が習慣化されていることです。

 せっかく早く起きてもダラダラ過ごしたのでは意味がありません。

 毎朝やることを決めておき、朝の成果を意識して早起きすることが重要なのでしょう。

 時は金なり。時間は作り出すものです。

「忙しい」を連発する前に起床時間を見直して、早朝という付加価値の高い貴重な時間に投資してみるのはいかがでしょうか。

「商売繁盛の歴史は朝に作られる」、かもしれませんよ。

投稿者: 伯税務会計事務所

2015.11.02更新

 今年も決算審査を終え、意見書を市長に提出いたしました。意見書提出H27

投稿者: 伯税務会計事務所

2015.10.15更新

 ミスをした部下に、あなたならどちらの声がけをするでしょう。

 「なぜミスをしたんだ?」「どうしたらミスをくり返さなくなるだろう?」

 質問する力を「質問力」と呼び、ひとつの能力としてクローズアップされるようになりました。

 「問いを立てる力」と言い換えてもいいでしょう。質問の仕方や問いの立て方で引き出される答えが変わってくるので、「相手が打ちやすい球」を投げましょうというわけです。

 先ほどの例でいえば、「なぜ」で理由を聞いてしまうと相手は言い訳を考え始めますが、「どうしたら?」と問いかけると自分で解決策を探すようになるそうです。

 世の中にはいくつかの有名な問いがあります。

 例えば、マネジメントの父と称されたピーター・ドラッカーの「何のための経営か」、経営学者セオドア・レビットの「わが社は本当はどんな商売をしているのか?」。

 どちらも時代を超えた名言であり、本質を突いた問いでしょう。

 上手な質問によって交渉相手の本音を引き出したり、機転を利かせた問いかけでピンチを切り抜けたりと、商売でも質問力がものをいう場面は少なくありません。

 ところで、肝心なのは「上手な質問」の中身でしょう。興味本位で自分が聞きたいことだけをポンポン投げかけても相手は打ち返してくれません。

 双方にとってのストライクゾーンに入る質問、つまり自分は聞きたいし相手は話したい(答えたい)と思っている質問を投げかけることができたら、商売に限らず人間関係全般がスムーズに運ぶのではないでしょうか。

 質問力は一種の能力なので訓練で上達します。

 では、質問力がアップするひとつのテクニックをご紹介します。

 相手の本音が知りたいときは、何か相談事を持ちかけてアドバイスを求めてみてください。

 人はアドバイスを求められると「もし自分だったら?」と想像して、警戒することなく自分の考えを話してくれるそうです。

 さりげなく聞いてみましょう。「あなたならどうしますか?」

投稿者: 伯税務会計事務所

2015.09.15更新

 いつも元気な人と一緒にいると自分まで元気になる気がします。

 相手が笑顔だと自分も笑顔になっていきます。

 幸せは人から人へ伝染します。これはいくつかの実験や研究でも証明されている事実です。

 米ハーバード大学が12000人以上を対象に、30年以上にわたって大規模な社会的実験を行いました。

 人の幸福度が他人に及ぼす影響力の調査です。

 それによれば日頃、接している家族や友人が幸せを感じていると、自分が幸せを感じる可能性が15%高まるという結果が出たそうです。

 しかも、自分とは直接関係のない人の幸せも自分の幸福度に影響するというのです。

 具体的には、人の幸福度は自分から数えて3人目まで影響するそうです。

 例えば、あなたにAさんという友人がいたとします。

 そのAさんの友人のBさんが幸せを感じていると、Bさんの幸せがAさんに影響してあなた自身の幸福度が10%アップするというわけです。

 また、「日々の生活に幸せを感じている友人が1人増えるごとに、自分が幸せになる可能性は約7%ずつ高まる」とも報告されて

います。

 反対に、日々の生活が不幸だと感じている友人が1人増えるごとに、自分が幸せでいられる可能性は7%ずつ低下したそうです。

 数字はともかく、幸せというものは確実に人から人に伝わる「素晴らしい伝染病」なのでしょう。

 そして誰もが「幸せの病原体」になれるのです。

 商売をしていると、つい売り上げや利益を最重要視しがちですが、そもそもは「人のお役に立ちたい」「人を幸せにしたい」という思いが商売の原点だったのではないでしょうか。

 お得意様、従業員、取引先と人間関係はいろいろでも、商売をするなら「まずは自分から」の精神を忘れないようにしたいものです。「人から与えてもらおう」とするより、「まずは自分が与えよう」という気持ちから幸せのお裾分けははじまるのでしょう。

 あなたの幸せが伝染して周囲も幸せになったら、これほど素敵で素晴らしい商売はありませんね。

投稿者: 伯税務会計事務所

2015.08.15更新

  誰が言い出したのか定かではありませんが、「ひがみ七訓」をご存じでしょうか。

 一、つらいことが多いのは、感謝を知らないからだ

 一、苦しいことが多いのは、自分に甘えがあるからだ

 一、悲しいことが多いのは、自分の事しか考えないからだ

 一、怒ることが多いのは、我がままだからだ

 一、心配することが多いのは、今を懸命に生きていないからだ

 一、行きづまりが多いのは、自分が裸になれないからだ

 一、あせることが多いのは、行動目的がないからだ

 誰でも多少は身に覚えのあることだと思いますが、これを読んだある人は「まさにうちの社長のことだ」と苦笑していました。

 社長だからといって完璧な人などいませんし、商売は上手でも人間としてまだまだ発展途上の経営者はめずらしくありません。

 けれど世間は優秀な人が会社を経営するものだと思っている節があります。

 特に社員は、「社長なんだから人間としても立派な存在でいてほしい」と高い理想を掲げるものです。

 先ほどの「ひがみ七訓」を「ひがまない七訓」にちょっとアレンジしてみました。読み比べてみてください。

 一、「ありがとう」を言葉にすると、つらいことが減ってくる

 一、ダメな自分も認めてあげると、苦しいことが減ってくる

 一、身近な人を笑顔にできたら、悲しいことが減ってくる

 一、我がままを上手に言えるようになれば、怒ることが減ってくる

 一、自分にできることを頑張れば、心配することが減ってくる

 一、自分と人を比べないようにすれば、行きづまることが減ってくる

 一、「これが好きだから」と思ってやれば、あせることが減ってくる

 商売も人間磨きも積み重ねこそ実力ではないでしょうか。コツコツと歩を進めていきたいものですね。

投稿者: 伯税務会計事務所

2015.07.15更新

 スピードが鈍るとき、物事が止まるとき、私たちの中では思考停止が起こっているそうです。

 その理由は主に「慣れ」とのこと。

 毎日新しい場所に出掛け、新しい人に会い、新しい出来事が起こる。

 そんな刺激的な日々を過ごしている人はそうそういません。

 毎日同じ時間に同じ場所へ出勤し、いつもの仕事をこなす日々。

 商売も長く続けていれば多かれ少なかれ慣れてくるのは当然ですし、要領がよくなって上手に手を抜くことを覚えるかもしれません。

 しかし、思考停止の状態で仕事をしても達成感や充実感は得られないでしょう。

 同じことをしながらも慣れないためにはどうすればいいか。

 ひとつは目的意識を持つことではないでしょうか。

 小さなことでもいいので、「今日これだけは絶対にやり遂げよう」という明確な目的意識を持って仕事に取り組む。

 今さらな話ですが、漫然とできることでもあえて目的意識を持つことで、やり終わったときには達成感が得られます。

 達成感を味わうと脳ではモチベーション系のドーパミンが活発に働き、やる気が出るそうです。

 要するに達成感は脳の活性化には重要な要素であり、次のモチベーションへの架け橋でもあるのです。

 人からの評価でも達成感は味わえますが、「与えられるもの」にはいずれ慣れてしまうのが人間の性です。

 ましてや自分が思い描くように評価してもらえなければテンションは上がらないので、他者の評価を期待するのも思考停止に陥る原因です。

 最良の方法は、達成感を得てやる気になる仕組みを自分で作っておくこと。

 つまりそれが「目的意識」です。

 日々、目的意識を持って仕事に取り組み、自分で自分を評価して達成感を味わう。

 仕事の充実とは小さな達成感の積み重ねにほかなりません。

 その積み重ねた達成感が自信となって新たな意欲を生むので次が見えてくるのです。

 商売に慣れは禁物です。

 自分に目的意識という「次のステージ」を用意できる人は、間違いなく「慣れ」とは無縁でいられるでしょう。

投稿者: 伯税務会計事務所

2015.06.15更新

 朝礼で経営理念の「思いやり」を説く社長に向かって、「社内で一番思いやりがないのは社長だよ」と心の中で毒づく社員。

 その本音は「難しいことはいいから、まずは社員から尊敬される社長でいてほしい」。

 口先だけのねぎらいなど社員はすぐに見破ります。立派な態度で正論をぶっても行動が伴っていなければ、社長という立場ゆえに余計見下されてしまうでしょう。

 いくら雇用関係とはいえ、尊敬できない人のために頑張ろうとはなかなか思えないものです。

 儒学の教えである「五常の徳」(仁義礼智信)のなかで孔子が唱えたのは「仁」と「礼」、すなわち「真心」と「礼儀礼節」でした。

 「人を使う立場にいながら寛大な心がなく、礼儀作法に従いながら尊敬の心がなく、葬儀に参列していながら哀悼の心がない。そんな、心の伴わない上辺だけの人間には何の美点もない」と説いた孔子にとって「心」と「言葉」と「行動」は三位一体の切り離せないものであり、とりわけ「心」が肝心だったようです。

 心は外からのぞけません。だからこそ人生の最重要課題は「心を鍛えること」だとされています。

 「心」と「言葉」と「行動」の三者をいかに過不足なく一体化させるか。孔子が終生その問題を追及したのは、人を導くリーダーにとって何よりも大切なものは品位であるという考えからでしょう。

 社会の中で自らの分をわきまえ、誠実になすべきことをなし、自分ではどうにもならないこと、例えば立場や状況や能力の限界といった宿命的なものは潔く受け入れる。

 孔子のいう「品位」とは、こうした「生き方」のことではないでしょうか。

 メジャーリーグのオファーを蹴って古巣のユニホームを選んだあの黒田投手が多くのファンに愛されるのは「20億円より4億円」というお金の話ではなく、彼の心と言葉と行動が三位一体だからでしょう。

 いつの時代も「真心と礼儀礼節を持って事にあたり尊敬されるリーダー」を待ち望んでいるのではないでしょうか。

投稿者: 伯税務会計事務所

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