2018.11.15更新

 以前、カナダのある大学が面白い実験をしました。

 学生46人に5ドルまたは20ドルを渡して複数のグループに分け、夕方5時までにお金を使うように命じました。

 ただし、あるグループには家賃の支払いなど自分のために使うように指示し、残りのグループには他人のためにお金を使うか慈善団体に寄付するように指示しました。

 つまり、自分のためにお金を使うか、他人のためにお金を使うかの違いです。

 さて、より幸福だと感じたのはどのグループの学生だったでしょう。

 事前に学生が予想したところ、自分のために20ドル使うグループの学生が一番幸福感を得るだろうという意見が多かったそうです。

 けれど、実験の結果は意外なものでした。

 より幸福だと感じたのは、自分のためではなく他人のためにお金を使った学生。

 しかも面白いことに、それは5ドルでも20ドルでも変わりませんでした。

 つまり、金額の大小ではなく「他人のためにお金を使った」という行為自体に満足感を覚えた学生が多かったのです。

 先ごろ夫を亡くされた女性が「一人の食事は本当に味気ない」としみじみ話していました。

 夫が健在だったときは毎日の食事作りが面倒で、一人ならどんなに楽かと思っていたそうです。

 でも本当に一人になってしまったら、うまいだのまずいだの言ってくれる人がいなくなり、食事を作る張り合いもなくなって手抜きご 飯になっているとか。

 「自分のためだけってむなしいものですね。誰かのためと思えばこそ、やる気が出るんですね」。

 誰かの役に立っている。誰かが喜んでくれている。

 そこに幸せを感じてやる気になるのは、国も人種も性別も立ち場も越えた、人としての普遍的な感情なのでしょう。

 歌手や講師など大勢の前に立つ人は、客席の誰か一人をこっそり選んで、その人に向けるつもりで歌ったり話したりすることがあるそうです。

 「今日はこの人のために」と心で思うことで、自然と笑顔になれるし気持ちも込めやすくなるというのは、商売をしている人ならお分かりでしょう。

 漠然と「お客さまのために」と思うより、「○○さんのために」とその人の顔を思い浮かべると良い商売ができそうですね。

投稿者: 伯税務会計事務所

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